|
マンションは、職業・価値観等を異にする多数の区分所有者の共有財産です。このため、大規模修繕工事を行う際には、合意形成のために多くの時間を必要とします。又、居住したまま長期にわたり工事をするため、各種のトラブルが生じやすいものです。
中でも管理組合を一番悩ませるのは業者の選定です。これがスムーズに運ぶかどうかは、大規模修繕工事の成否に大きく影響します。民主的手続きにより、透明性を持って進めなければなりません。
1 工事の進め方
大規模修繕工事の進め方には2種類あります。
ひとつは「設計監理方式」といいます。これは、実際に工事を行う「施工業者」とは別に、「設計監理業者」を立てるやり方です。設計監理業者は、事前調査・仕様書作成・施工業者選定の補助及び施工監理等を実施し、工事全体を監督します。この場合、設計監理業者が行う調査により必要な工事が事前に把握できるとともに、工事施工業者の見積もり合わせを統一仕様書によって行うことができ、業者間の比較が容易になります。また、工事の要所で設計監理業者が検査するため、サービスを下げることなく、ある程度の価格交渉も可能となります。
もうひとつは、「責任施工方式」といいます。これは、施工業者が事前調査・仕様書作成・工事施工・施工監理などをすべて一貫して実施するものです。この方式の場合、複数の業者から見積もりを徴収して比較した上で業者を選定したとしても、事前に仕様書を統一することができないため、価格とサービスが見合ったものであるかどうかの判断は難しくなります。また、第三者によるチェックができないので、安易な価格交渉はサービスの低下を招く恐れがあるとともに、仕様書通りの工事が実施されたかどうかについては、施工業者を信用するしかありません。
以上のことから、一般的には設計監理方式が望ましいと言えます。しかし、確実に信頼できる業者がいる場合や、修繕積立金が少なく工事予算が限られるといった場合には、責任施工方式により費用を節約することも考えられます。
2 業者の選定方法
業者の選定方法としては、@入札方式、A見積もり合わせ方式及びB特命随意契約方式があります。一般的には、統一仕様書に基づき複数の業者から見積もりを徴収して比較・選定する、Aの方式を採用することが多いようです。
@の方式は、組合員に専門家でもいない限り、管理組合が行うのは難しいでしょう。
Bの方式は競争原理が働かないため、客観的な評価ができません。但し、緊急を要するなど、特殊な場合には有効です。
3 業者の種類
業者の種類には、ゼネコン系、管理会社系、マンションリニューアル専門業者などがあります。それぞれ得意分野・不得意分野がありますので、実施する工事の性質を勘案して選定すべきです。
通常の大規模修繕工事であれば、見積もり合わせを徴収する際は各業種からバランスよく選定します。居住者を対象とした業者説明会までは最低2業種は残しておく方が良いでしょう。
4 候補業者のリストアップ
候補業者のリストアップの方法には公募などがありますが、組合員の参加意識を高めるために、理事、区分所有者の推薦などを取り入れるのも良いでしょう。
なお、これらの作業を行う「修繕委員会」を設置する場合は、理事会の「諮問機関」であることを明確にしておくことが大切です。それがあいまいなため、決定権をめぐって理事会と修繕委員会で泥仕合になるケースは少なくありません。あらかじめ「修繕委員会設置・運営規則」などを作成し、総会で承認を得ておきましょう。また、両者の関係を円滑にするために、理事の数名は修繕委員会の委員を兼ねる形にしたほうが良いでしょう。
5 業者の決定
業者の決定に当たっては、価格のみでなく、財務内容、技術力、施工管理体制、広報・苦情処理体制、アフターサービス等、サービス内容も考慮しましょう。特に、マンションの大規模修繕工事の実績が多いかにも注目しましょう。
工事期間中ずっと組合員と接する現場代理人の人柄・技量・相性も肝心です。業者説明会には現場代理人本人の出席を求め、受け応え等を見ましょう。
|