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第6回:Aマンションでの出来事
           〜大規模修繕工事をめぐるトラブル〜

 Aマンションは築13年の30棟800戸の大団地です。このたび管理組
合の総会で大規模修繕工事の実施が承認され、同時に工事の段取り等は理
会に一任されることになりました。
 理事会では、まず工事全体を監督する設計監理業者を決め、その業者から
の助言を参考に、施工業者の選定を行うこととしました。設計監理業者を決
めるための見積もりを4つの会社から理事会に提出してもらったところ、提
示された値段はほぼ横並びでした。そのため、理事の大部分は、業者の技術
力や信頼性を確かめるための説明会等を行う必要があると思っていました。
 ところが、翌月の理事会での理事長からの説明は次のようなものでし
た。「実は内々に各業者と交渉してみたら、C社から『もし施工まで任せて
もらえるなら、監理費用は全額サービスする』との回答を得た。そこで、施
工まで込みでC社に任せたいと思うが、どうか」。これを聞いて、一部の理
事は腑に落ちない気持ちでした。しかし、独断専行気味ながらもテキパキと
業務をこなしてきたB理事長からの提案でもあり、また、費用の節約にもな
ることから、誰も異を唱えませんでした。
 それから数日後、理事は日課である散歩の途中で、社の事務所に入っ
ていくB理事長の姿を見ました。その時は「工事の打合せだろう」と思い特
に気にも留めませんでした。しかし、さらに数日後、今度はB理事長が同じ
事務所から出てくるのを目撃しました。少し不審に思ったD理事は、見送り
に出ていた若い社員を呼び止めて、「今の方はどなたですか?」と尋ねまし
た。すると、驚くべき回答が返ってきました。「ああ、あの方はうちの会社
の税理士先生ですよ」。
 D理事は、「800組合員のためにも、この件は放っておけない。」と思
いました。しかし、B理事長のシンパの理事もいる理事会で取り上げても、
うやむやにされてしまうのは目に見えています。いろいろと考えた末D理事
は、近く開かれる設計監理業者選定のための臨時総会において、友人である
E前理事長に質問してもらうことを思いつきました。事情を聞いたE前理事
長は、快くこれを引き受けてくれました。
 臨時総会当日、前理事長は業者選定手続きの不透明性や矛盾点、理事
長が候補業者であるC社の税理士であることについて次々に質問しました。
特にB理事長とC社の関係は組合員に大きな衝撃を与え、かねてからのワン
マンな振舞いも相まって、B理事長を非難する意見が続出しました。B理事
長は窮地に陥り、ついにC社を候補業者とする議案を撤回し、改めて理事会
で候補者を選定することとしました。
 その日の夕方、理事辞任届けが、B理事長からF副理事長に提出されまし
た。
   
 以上は架空のお話ですが、似たような話は決して少なくはありません。他
山の石としてください。
           首都圏マンション管理士会 埼玉県支部長 竹内幹吉
                                         (07/10/31)



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