| 今年の6月に、ドイツのシュトゥットガルトで開催された国際会議に参加 |
| する機会がありました。世界40カ国以上の都市からの参加者があり、「サ |
| スティナブルシティ(持続可能な都市)」について、3日間にわたり熱心な議 |
| 論が交わされました。この会議を通じて、社会・環境・経済など様々な分野 |
| で持続的に発展できる都市の実現に向けて、世界が協調し始めていることを |
| 肌で感じました。 |
| この会議の合間に、シュトゥットガルトの街並みを見て回りました。 |
| ヨーロッパ諸国では、広場を中心に街が形づくられていることが多いです |
| が、ここシュトゥットガルトでも、開放された広場に多くの市民が集い、様 |
| 々な催しものが開かれています。夕方になると、オープンカフェは仕事を終 |
| えた人々や旅行者で埋まり、皆にぎやかに会話を楽しんでいました。 |
| 住宅地を訪れると、そこには12世紀から14世紀のローマ様式で造られ |
| た歴史的建造物と調和した、整然とした街並みが形成されています。外敵の |
| 侵入から街を守るために造られた「街壁」も当時のままに保全され、街の中 |
| に歴史というものがしっかりと刻み込まれています。こういった歴史の記憶 |
| の中にやすらぎや愛着が生まれ、やがて誇れる都市へと熟成していくのだろ |
| うな、と感じました。 |
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| ところで、日本の街並みや住宅はどうでしょうか? |
| 日本の住宅の平均寿命は30〜40年。欧米の住宅に比べると三分の一か |
| ら七分の一という短さです。短期間に家を造っては壊すということを繰り返 |
| すのでは街並みというものは育たず、地域の熟成は期待できません。また、 |
| 資源の浪費にもつながります。そこに住む人は街並みに特段の愛着を持つこ |
| ともなく、住宅ローンに追われゆとりのない生活を送らざるを得ません。こ |
| のような状況を打破するために、国では、長持ちする住宅、すなわち「ス |
| トック型住宅」を形成する政策を打ち出しています。 |
| このコラムをお読みの皆さんにとっては、「ストック型住宅の形成」など |
| という言葉はなじみの薄いものかもしれません。しかし、住みやすく愛着の |
| 持てる住宅や街を造っていくために、皆さんができることはあります。それ |
| は、マンションを自らが管理し、末永く快適に居住できるようにするという |
| 自立的な精神に基づいて、「サスティナブルシティ(持続可能な都市)」なら |
| ぬ、「サスティナブルコミュニティ(持続可能なコミュニティ)」の形成を目 |
| 指すことです。最近では、プール・フィットネスルーム・ミニキャンプ場・ |
| ミニサッカー場・ファミリーアリーナなど、住民同士の交流を促進する共用 |
| 施設を持ったマンションが多く見られます。これらがなければ近所の公園な |
| どでもかまいません。こうした場で積極的に他の住民と話をし、交流を深め |
| ることで昔ながらのコミュニティを復活させ、自分の足元から「住みよく、 |
| 愛着のある街」をつくり始めましょう。 |
| 私が所属する「社団法人埼玉建築設計監理協会」では、老朽化してしまっ |
| た歴史ある建造物を修繕・復元する「甦りの建築」というものに取組んでい |
| ますが、これからはコミュニティの「甦り」についても研究していく必要が |
| あると考えています。 |
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| 社団法人 埼玉建築設計監理協会 副会長 田中芳樹 |
| (07/11/28) |
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