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第8回:マンションの耐震診断と耐震改修

 私が所属する社団法人埼玉建築士会では、経験豊かな建築士が建築に関す
る問題にお答えする無料相談会、「住まいの安全・安心総点検」を実施して
います。建物の耐震性やバリアフリー、リフォーム、契約トラブルや欠陥住
宅問題など、様々な相談が寄せられますが、最近では、マンション居住者の
方からの相談が増えてきています。最近多発する地震による被害や、次々に
発覚する構造計算書の偽装事件などをきっかけにご自分のマンションの耐震
性が心配になり、相談会においでになる方が多いようです。
 マンション居住者の方の相談を受けてみて感じるのは、「まず何から手を
つければよいかがわからない。」というケースが多いということです。マン
ションは鉄筋コンクリート製で複雑な構造の場合が多く、専門的な知識を
持っていない限り、耐震性はおろか、図面を見るのも難しいことでしょう。
また、他の多くの所有者(区分所有者)との共有物でもあるので自分ひとりだ
けで対策を検討するわけにはいきません。どうしたらいいのか戸惑いを感じ
られるのは当然のことと思います。
 実際のところ、マンションの耐震性を確認するにはおよそ次のような手順
を踏む必要があります。
  @ まず、専門的知識を持つ建築士などに、第1次診断を依頼します。
   この段階の診断は人間でいえば健康診断のようなもので、比較的簡
   易な検査を行い、その結果から疑わしい点があるかどうかを判断し
   ます。
  A 第1次診断の結果、「耐震性に疑問がある」という場合には第
   次診断を、更にその結果によっては第3次診断を依頼します。回を
   重ねるごとに、より精密な検査を行うことになります。
  B 最終的に「耐震性が不十分である」と判断された場合には、耐震
   改修工事を検討する必要があります。どのような工事を行うかにつ
   いては、専門家のアドバイスを受けながら、管理組合自身が決める
   ことになります。
 @の耐震診断及びBの耐震改修については、お住まいの市町村により、補
助制度を利用できる場合もあります。しかし、すべての市町村に補助制度が
あるわけではありません。マンションの検査では建物の規模・形状によりか
なり費用がかかる場合もあるので、少しでも住民の負担を軽くするために
も、全市町村での制度導入が待ち望まれます。
 ただし、問題は補助制度だけではありません。耐震診断等を行うために
は、マンション管理組合として、その実施について意思決定を行う必要があり
ます。しかし、住民の災害に対する意識の低さや金銭的負担の問題により総
会で同意が得られず、なかなか耐震診断・耐震改修が実施できないという話
もよく耳にします。
 日本は地震大国です。大地震から財産・生命を守るためには、建物の耐震
性の確保は絶対に必要です。まずはマンション全体の防災意識を高めるとこ
ろから始め、最終的には建物の耐震性の確保の重要性を理解してもらえるよ
う、日ごろから管理組合で活動していくことが重要だと思います。
  
※参考:埼玉県内市町村の助成制度

http://www.pref.saitama.lg.jp/A10/BG00/kenti/sinsai/sichoson_hojo.pdf

 
                社団法人 埼玉建築士会 副会長 塩川通正
                                         (07/12/12)



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