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第20回:「200年マンション」の実現へ

 今年2月、「長期優良住宅の普及の促進に関する法律案」が国会に提出さ
れ、これから審議される予定です。いわゆる「200年住宅」法案で、福田首相
が首相就任前の昨年5月、自民党住宅土地調査会長であった時に打ち出した
「200年住宅ビジョン〜住宅改革・ゆとりある住生活を目指して〜」が基になっ
ています。
 これは、成熟社会にふさわしい豊かな住生活が実感できないわが国の現状
をふまえ、造っては壊す「フロー消費型の社会」から、いいものを造って長く
大事に使う「ストック型社会」への転換を目指すものです。そのためには、超
長期にわたって循環利用できる質の高い住宅が必要で、「200年マンション」
のイメージは次の通りです。
  ・構造躯体の耐震性を確保する
 ・数世代使用可能な構造躯体の耐久性を確保する
 ・内装・設備の維持管理、交換を容易にする
 ・居住者のライフスタイル等に応じた間取り変更ができるようにする
 ・長期利用可能な断熱、省エネ性能を確保する 等
 日本の住宅は平均30年で壊されているのが現状です。これは欧米に比べる
と半分またはそれ以下と圧倒的に短いのです。また、住宅流通全体に占める
中古住宅の割合は、欧米が66%〜88%に対して、日本は13%でしかありませ
ん。つまり、わが国は質の良くない住宅を建てては壊しまた建て直すことを
繰り返しているのがこれらの数字でよくわかります。
 200年はともかく、せめて100年はもつ質の良いマンションに住みたいもの
です。
 長期優良住宅は、現在より建築費がある程度高くなると思われますが、実
現すれば質が向上するだけでなく次のようなメリットがあります。
 ・数世代にわたる安定した快適な暮らしが実現する
 ・住宅の建設・取得・維持管理のための国民負担を現在の3分の2程度に縮
  減可能となる
 ・住宅廃材の大幅削減が可能であり、また二酸化炭素の削減にも資する
 また、この構想を実現させるには以下のような施策があわせて必要になる
と思います。
 ・国が「長期優良住宅」のガイドラインを策定する
 ・合格した住宅を「長期優良住宅」として国が認定する
 ・助成金制度の設定により「長期優良住宅」の普及の促進を図る
 ・認定住宅に対する不動産取得税など税の軽減措置をとる
 ・「長期優良住宅」向け住宅ローン、リフォームローンを充実させる
 ・工法や改修履歴などを記録する「住宅履歴書」を義務付ける 
 昨年7月に当センターが実施した講演「フィンランドの100年住宅と維持・管
理」で紹介されたように、北欧ではずっと以前からマンションは100〜200年を
前提として建築されていて、現在ヘルシンキ市の中心部にあるマンション群
は約100年前に完成したものだそうです。しかも住宅価格は年数を経てもほと
んど下がらないということです。
 住宅価格については、数年前の当センターの講演で、アメリカでは良いマ
ンションは管理責任者(マネージャー)がしっかり修繕、管理指導をするので
価格が下がらないことが紹介されました。手入れを怠らない本当に良いマン
ションはむしろ財産価値が上がり、逆にマンションの売値が下がった場合は
マネージャーが首になるそうです。
 ひるがえって、わが日本では何故建てた翌年から住宅価格が下がるのか?
という疑問がかねてからあります。その答えが「200年住宅」の実現によりわ
かるかもしれません。
    
 
      NPO埼玉マンション管理支援センター 理事長 堀 淳一
                                       (08/06/03)



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