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第22回:実例からみた管理会社変更の際の注意点

 あるマンションから、「管理会社から要求された管理委託料の値上げを総
会で否決したら、委託契約の更新を拒否された。管理会社変更の仕方を教え
てほしい。」という相談を受けました。
 こういった場合、管理組合としては、管理会社撤退に伴う対応を行うとと
もに、今の管理委託契約が切れる前に次の管理会社を選定し、円滑に引継ぎ
を行ってもらうことが必要です。
 まず、管理会社に保管してもらっている書類について、「引渡書類一覧表」
を作成してもらいましょう。これにより、管理に必要な書類がすべて引渡し
を受けられるようあらかじめ確認しておく必要があります。
 また、これまで使ってきた機器・備品のうち、管理会社のものは撤去され
ますので、所有関係を明らかにしておく必要があります。このマンションで
は管理人室の机・椅子とファクシミリが管理会社の所有物でした。机と椅子
は管理会社が不要だというのでそのまま使えましたが、ファクシミリは撤去
するとのことだったので、新しいものを購入しなければなりませんでした。
電話加入権も管理会社名義だったので、管理組合はこれを買い受け、新しい
管理会社が決まった後にその会社の名義に変更することとしました。
 その後、新しい管理会社の選定は順調に進み、あとは引継ぎを待つばかり
となりました。
 ところが、よくあることではありますが、引継ぎ段階になって、前の会社
とのトラブルが発生しました。契約終了にあたり管理組合に引き渡された書
類のうち、組合員名簿には住戸番号と氏名だけで、電話番号の記載がありま
せんでした。また、組合員の銀行口座一覧については、「当社名で取得したも
のである」として、引渡しを拒否されました。組合員の電話番号と銀行口座
は、管理費等の徴収事務には欠かすことのできない情報です。また、これら
は本来、取得したらすみやかに管理組合に引き渡されるべきものです。「管
理会社名で取得したものだから管理組合に引渡せない」という管理会社の主
張は信義則にも反し、到底容認できるものではありません。再三引渡しを要
請しましたが、「当社の方針である」として、最後まで引渡しを拒まれまし
た。結局、管理組合が改めて全組合員の電話番号と銀行口座を把握しなおさ
なければならず、多大な手間と時間を割く破目になりました。
 管理会社の変更は、実際はなかなか簡単にはいかないものです。できれば
マンション管理士など専門家の支援を受けながら行うことをお勧めします。
 なお余談ですが、このマンションでは、管理組合が交渉して長年働いてき
た管理人さんを新しい管理会社に雇ってもらい、そのままマンションに残っ
てもらったそうです。これにより、管理会社を変えたにもかかわらず、日常
的な業務は一日も滞ることがなかったということです。
 以上、皆さんの参考にしていただければ幸いです。
    
 
                埼玉県マンション管理士会 理事 石村健一
                                       (08/07/10)



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