TOP : 第23回 知っておきたいマンション管理5つのポイント
投稿日時: 2012-03-30 (1694 ヒット)
知っておきたいマンション管理5つのポイント
埼玉県内のマンションストック数は、37万7,000戸に達しています。いまやマンションはなくてはならない住宅形態なのですが、そのマンションをできる限り住みやすく、しかも建物等の維持・管理を適切に行うには、しっかりとした管理組合の手による運営が欠かせません。
共用部分の管理は分譲マンションを所有している人たちで構成する管理組合があり、それが管理運営を進めていくのです。
そのためには、管理組合の自立が求められています。よくありがちなのが、「管理会社がやってくれる」という誤解がありますが、正しくは「管理会社に委託している」のであって、その主体と主導は管理組合が行うべきなのです。管理組合の自立があってこそ、よい管理ができるのであり、管理組合が成り立つのです。
自立を原点とした管理組合運営上の力点を、次の5つに絞って紹介しましょう。
1 規約の内容をチェックしよう
規約は「マンションの憲法」という言い方もあるくらい、とても大切なものです。マンションという集合住宅は様々な考え方をもった人たちの集りですから、最低限のルールは欠かせません。規約には必ず目を通しておきたいものです
2 専有部分・共用部分を理解しよう
マンションには「専有部分」と、それ以外の他の所有者と共有している「共用部分」があり、それぞれを理解することで、自分のものだと思っている単独で所有している各部屋内部にも、実は専有部分と共用部分とが混在していることがわかり、マンションに住むことの注意点がわかります。
それは、例えば専有部分のリフォームをする際に、リフォームが可か不可かといったことなどにも役立ちます。
3 管理委託の内容はしっかりチェックしよう
約9割の管理組合では窓口・会計・植栽・設備などの管理を、管理会社に委託しています。そこで大切なのは、管理会社に丸投げをしたり、おんぶに抱っこをしないことなのです。主体は管理組合にあることを自覚して、管理の中味や仕事ぶりに注視し、契約等との差違がないかなどに関心を寄せ、それに対して遠慮なく管理会社に質問等をして、自分たちのマンション管理について高い意識を持つことが必要です。
4 長期修繕計画は早めにつくり定期的に見直そう
建物等の維持・管理を進める上で大切なのは、計画的に大規模修繕工事等を実施することです。そのためには、「なにを」「どのように」「いつごろ」「いくらで」行うかをまとめておく必要があります。それはまた、修繕積立金の根拠にもなりますから、数年ごとに長期修繕計画の見直しが欠かせません。
5 修繕積立金は適正に設定しよう
修繕積立金とは、前述の計画修繕に充てられる大切なお金です。したがってその金額にはきちんとした算出根拠を示しておくことが必要であり、そのために長期修繕計画がなくてはなりません。
※最後に……
会計は大切な修繕積立金を管理(運用も)していますから、その仕組みは安全面からは厳しく、しかも誰から見ても分かりやすい透明性がなくてはなりません。この両立は非常に難しいのですが、これも管理会社に任せっぱなしではよくありません。
管理組合は素人集団と揶揄されており、実際、会計に強い人はあまり管理組合の会計に携わっていないのが実態です。
また、理事長、会計担当理事、管理会社のフロントや管理員による修繕積立金等の不正支出が目立ち、人任せ体質の弊害が会計に際立って現われています。
不正の原因は会計のプロセスに盲点があることと、属人的な部分の性善説化にあるので、それをさせない仕組みを導入し、大切な修繕積立金の保全に努めなければなりません。
NPO法人 日本住宅管理組合協議会 埼玉県支部
支部長 柿沼 英雄
- 第38回:分譲マンションにおける民泊について~民泊新法と管理組合の対応策~ (2020-03-27)
- 第37回 大規模修繕工事の失敗事例から学ぶ (2019-02-08)
- 第36回 給排水設備の劣化診断 (2019-01-29)
- 第35回 終末は必ずやって来る!ビジョンと現状の乖離 ~自立管理とコミュニティーを点検する~ (2018-02-01)
- 第34回 長寿命化にこだわった大規模修繕工事の取り組み方 (2018-01-10)
- 第33回 マンションで発生するさまざまなリスクを知って、備えよう!~ご存知ですか?マンションに暮らす"リスク"と"保険"の大切さ~ (2017-10-13)
- 第32回 マンションの防災対策 (2015-02-24)
- 第31回 平成25年度マンション総合調査から (2015-02-05)
- 第30回 大規模修繕工事の失敗に学ぶ (2015-02-04)
- 第29回 大規模修繕を見つめ直す<発想の転換へ> (2014-03-19)
投稿された内容の著作権はコメントの投稿者に帰属します。