マンション管理をこうして見直す
1.区分所有法及び管理規約の理解を!
マンションを購入した人は全員、区分所有法第3条により管理を行う組織(管理組合)に自動的に所属することになります。そして法第3条では、その組織は、建物とその敷地及び付属施設の管理を行うための団体と目的は限定的に規定されています。
また、法30条では、個々のマンションではそれぞれの事情・特性を踏まえ、管理規約で細部を定めることとしています。
以上を踏まえ、標準管理規約第1条(目的)では、「この規約は、○○マンションの管理又は使用に関する事項等について定めることにより、区分所有者の共同の利益を増進し、良好な住環境を確保することを目的とする。」と規定してあります。
以上を踏まえ、標準管理規約では管理組合の業務として17項目を規定するとともに総会で決議すべき15項目が規定されています。
スムーズにマンションの管理を進めていくためには、区分所有法及び管理規約を理解することが不可欠になります。
2.理事会の組織運営で効率的な組合運営を!
管理組合の運営においては、理事長に業務が集中する傾向が顕著です。
マンション管理センター発刊の理事会運営細則では、副理事長の業務は4項目に対し、理事長業務は29項目に及んでいます。
理事長は、標準管理規約第38条第4項を上手に適用し、各理事の業務を明確化するとともに理事長業務の委任を図り、理事会の組織運営を推し進めることを検討されたら如何でしょうか。
3.標準管理規約の改正及びその動向をとらえ早めの対応を!
標準管理規約の改正及びその動向は、時代とともに発生してくる多岐にわたるマンション管理の現場の問題への対応を示しています。それぞれのマンションで起きている問題ではないかもしれませんが、今後発生する可能性が高いものとして提起されています。その趣旨をとらえ早めの対応を取られたら如何でしょうか。
4.管理委託契約更新時に管理委託業務の実施状況の確認を!
理事の皆さんが管理会社と契約されている管理業務の内容について把握されていないケースを見かけます。
その把握のためには、管理会社からの書面による契約更新申入れの時期は、総会議案書の検討と重なるケースが多いので、良いタイミングになっています。
議案書の管理業務実施報告の検討及び管理委託契約に関する重要事項説明を受けるときに、その内容と実際の業務実施状況をよく確認し、適正な管理委託業務の実施を確保しましょう。
上記のマンション管理規約の理解及び適正化、理事会の組織運営の推進、管理委託契約の業務実施内容の確認及び適正化を実施し、「区分所有者の共同の利益の増進及び良好な住環境の確保」を効率的に進めましょう。
以上
(一社)埼玉県マンション管理士会
理事 荻原健
◆ 資料1 MSG所沢セミナーマンション管理を見直す.pdf
◆ 資料2 所沢セミナー(ポイント条項と内容).pdf
◆ 資料3 マンション標準管理委託契約書別表3~4.pdf
- 第38回:分譲マンションにおける民泊について~民泊新法と管理組合の対応策~ (2020-03-27)
- 第37回 大規模修繕工事の失敗事例から学ぶ (2019-02-08)
- 第36回 給排水設備の劣化診断 (2019-01-29)
- 第35回 終末は必ずやって来る!ビジョンと現状の乖離 ~自立管理とコミュニティーを点検する~ (2018-02-01)
- 第34回 長寿命化にこだわった大規模修繕工事の取り組み方 (2018-01-10)
- 第33回 マンションで発生するさまざまなリスクを知って、備えよう!~ご存知ですか?マンションに暮らす"リスク"と"保険"の大切さ~ (2017-10-13)
- 第32回 マンションの防災対策 (2015-02-24)
- 第31回 平成25年度マンション総合調査から (2015-02-05)
- 第30回 大規模修繕工事の失敗に学ぶ (2015-02-04)
- 第29回 大規模修繕を見つめ直す<発想の転換へ> (2014-03-19)