先日、浦安のマンションにお住まいの方から3月11日の東日本大震災時の話をお聞きする機会がございました。
その方が、話の冒頭「普段からのマンション内でのコミュニティ形成がどれだけ重要であるか思い知らされた。」と実感を込めて言われた姿が、今でも強く印象に残っています。
そして、一つ一つの話が実体験に基づいており、私も帰宅困難者の一人でしたので身につまされる思いで聞いていました。その際、色々お話し頂きましたが、印象に残った事をいくつか紹介させていただきます。
当日は、管理組合の理事の多くが帰宅困難となり、実際の対応はマンションにいる方で対応せざるを得なかったようですが、安否確認等を手分けして行なうなど、かなり機動的に動けたそうです。なぜならその管理組合では普段から居住者間のコミュニケーションが良好だったので、「高齢者のお宅はどこか」、「子供のいるお宅はどこか」等、皆が把握していたことが大きく寄与したようでした。
そして、大事なのは「自助」であるとも説明していただきました。
管理組合において物資を備蓄しても、特に食糧や水等には消費期限の問題があり、実際に使おうと思ったときには期限切れという事態も考えられます。各戸で常に備蓄し、定期的に消費し入れ替えれば、その様なこともなくなるはずです。そのマンションでは、救出の道具や、災害用トイレ等消費期限のない物はともかく、食糧や水は皆で融通し合ってライフライン復旧までの間、何とかしのげたそうです。
また、頼りになるのは「遠くの親類より近くの他人」と実感を込めて説明いただいたのが特に印象に残っています。
例えば、災害の発生する時間によっては、両親は帰宅できずに子供だけが帰宅できるというようなことも考えられます。
その際、普段から近所との付き合いがあれば、両親も安心できるはずです。実際お話しいただいた方のお隣のお宅も両親が帰宅できず、お話しいただいた方が隣のお子さんを預かったそうです。
以上のようなお話を聞くにつれ、お話しいただいた方が冒頭で言われた「普段からのマンション内でのコミュニティ形成がどれだけ重要であるか思い知らされた。」という言葉が強く心に響きました。
NPO法人 埼玉マンション管理支援センター
会員 伊藤 秀人
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