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建物
建物 : 第91回 マンション長寿命化のために
 投稿日時: 2014-12-16 (1304 ヒット)

マンション長寿命化のために

 建替えか長寿命化かといった議論は以前からありましたが、最近の傾向として「ていねいに維持・保全を行えば、長寿命化に耐える。建替えるのは勿体ない」と言った考え方によって、できる限り長寿命化を図るという方針を打ち出している管理組合が増えています。


 
ビジョンを整える
 マンションを何年保たせたいのか、50年なのか、100年なのか。それによって維持・管理の在り方は大きく変わりますから、組合員みんなが同じベクトルを持ち、同じ方向を向いてマンションの管理と居住を意識することが必要です。それがマンションの管理組合と組合員、居住者の関係を強化します。
 そのためには、具体的なビジョンや方針、必要な規約等を整えていくことが欠かせません。コミュニティはそれらを支える土台です。いろいろなイベントはもちろん、管理組合のコミュニティとしてもっとも重要なのが総会や理事会、委員会などの会議です。時間は少々かかるかもしれませんが、それらを活発にすることで組合員同士の真の理解を深めることにつながり、管理組合の運営を結果的にスムーズにするのです。

議論活発で、選択肢に深みが出る
 よく、人と違う意見を言い議論をするのとは、コミュニティにとって障害であるかのように考える人が多いようですが、異見をしっかり言い合うことで、相互の考え方を知ることができ、二者択一ではない別の考え方が示され、新しいものの見方ができるようになる可能性もあります。
 結論ありきの会議ではなく、議論をしながらビジョンをつくり、それを基にマンションの長寿命化を図ることが、少子高齢化社会、環境などに対応していくために現実的な選択の一つです。

 マンションの将来をどのようにすべきかといったことをまとめるには、いくつかの手法がありますが、ここでは諮問委員会の設置とアンケートについて示します。

 アンケートはある一定のことではあるのですが、組合員みんなの考えていることを知ることができるというメリットがあります。
 これから紹介する方法は、県内の500戸ほどの管理組合で実際に行われているものの考え方をもとに示します。

 手順は次のとおりです。
1. 理事会の諮問委員会をつくり、メンバーを募ります。
 委員会の目的等を記した広報を配布して、応募を受け付けます。
 第一回目の会議では、始めに委員長、副委員長、書記等を決めます。書記は、行うべきことと、その結果を議事録にまとめて(委員会の最後に、何についてどのように決まったかを全員に確認すると、後日、言った言わないということが避けられる)全委員に回覧(メールで行うのが早くて便利)します。
 理事会には、委員長、副委員長の出席を求め、進捗を確認し、理事会との齟齬が起きないように協力関係の強化に努め、双方の方針などの管理を行うことが重要です。
 諮問委員会の名称、メンバー、その目的を記した文書を広報し、組合員に理解を求めます。

2. 当該マンションに対する意識等の調査を実施するためのアンケートの設計を行います。
 そのためには、建物や設備の特徴、立地特性、などを把握しておくことが必要です。
それらを基に、居住者意識(定住意識、敷地内の好きなスポット、どのような施設、設備があったらよいか)、属性(家族構成、年齢層、立地、意識、時代性などについても知りたいところです。
 設計をするときに注意したいのは、「誘導」をしないことです。ある方向に導くような、このように答えてほしいといったアンケートを見ることがあるますが、各組合員がそれぞれの意見を反映できるように設計することがとても大切です。
 自由記述は必須です。

3. アンケート調査を実施する。
 何のために実施するのかという、アンケートの理由をしっかりと説明した上書きを理事長と委員長名で示すことがポイントです。

4. 集計を行う。
 このときも先程述べたように、一定の答えに収めようとせず、客観的に眺めていく眼を持つ必要があります。

5. 意識、意向、ニーズなどを把握します。

6. 集計結果は、なるべく早めに組合員にレスポンスします。
 レスポンスをしっかりと行うことによって、理事会や委員会が組合員から信頼され、次の施策等への協力の度合いが大きくなります。
 
意向調査は定期的に継続し、問題共有を図る
 アンケートはできる限り、同じ内容(自由記述は必須)のものを2年に1度程度実施し、組合員の意向やニーズを把握し、推移を確認し、重要度等を勘案して計画に反映させ、実行していきます。
 アンケートのメリットは、おなじ質問を定期的に行うことで組合員の意識の動きなどがリアルに把握でき、また、自由記述によって、それ以外の新しい考え方や、ニーズを捉えることができ、理事会等一部の人たちだけで想像する一人よがりのあるべきマンション像よりも具体的、かつ思いもしなかった意向等が記述していることがあります。
 アンケートの内容は、管理組合の仲間が示したものなので、共有性が高く、それぞれの理事や委員だけではなく、組合員一人ひとりの気づきを得ることにもつながります。

建替えか、長寿命化かのアンケート
 どこかのタイミング(一番最初かもしれません)で、建替えか長寿命化かを訊くアンケートも必要です。そのアンケートは住戸内の劣化度や不足を感じる設備等について把握します。
 長寿命化マンションのためには、居住者の新陳代謝をはかるための施策が欠かせず、設備等更新が必要な場合があります。10年ほど前から、築30年超のマンションの電気設備問題がありました。さまざまな電化とそれを使うための容量が不足しているということ。そのためには、幹線改修が必要です。一方、「一戸当たり20アンペアあれば、生活に困ることはない」と主張し、電気機器を同時に使わないように工夫をしている人たちもいます。
 その後、3.11の大震災があり、電気の大切さに目を開かなければならなくなり、その管理組合では、幹線改修を行わないことにしたといいます。
 電気は無限ではないし、電気を使えば使うほど二酸化炭素を排出することなどの負の理解も深まったことも、背景にあるようです。そのような啓発活動が効を奏したと、その管理組合の理事たちが誇っていました。

説明会を繰り返す
 アンケートによって100年保たせようということになったとき、その施策の第一歩としての説明会を何回か実施し、ビジョンや必要な施策等について委員会や理事会は説明をしつつ、組合員の質問や疑問にていねいに答えます。また、新しい視点の意見を取り入れるなど、建設的な会議(コミュニティの土台)を意識して運営することによって、組合員の管理組合への参画意識を高めることができるので、一石二鳥の会議となります。
 ここでの説明会の定義。それは理事会からの一方的な説明という意味ではなく、議論を始めるきっかけづくりのためのものであり、理事や委員は知っていることは可能な限り伝え、質問にはていねいに答え、わからないことは理事会等で検討や学習(専門家に相談することも選択肢のひとつ)をし、それを理解した上で、次の説明会で伝えていくという、どのようなマンションにしたらよいいかといった設計をみんなで行う、それがここで言う説明会であり、議論の善循環全体のことです。

ていねいな管理組合運営こそが合意を得られる
 建替え決議が不成立になった管理組合では、「盲信、猛進した委員会への不信任」という意見も出ています。
 何ごともビジョンを根底にして合意形成を意識し、ていねいに管理組合を運営することが、組合員からの信頼を得られ近道です。
 アンケートはメリットがありますが、それだけではなく、説明会をていねいに行うなど、合意形成に汗をかくことで、長寿命化もうまくいくはずです。
 長寿命化を行うということは、長期修繕計画を数年に一度、しっかりと見直し、アンケートの結果を反映させていくことが大切です。常に、中・長期計画に目を向けること、他の管理組合の事例研究等の学習をしていくことで、長寿命化マンションはうまくいきます。
 さらに、多くの人々が長く住み合うためには、もう一つのコミュニティの醸成を図る仕掛けも必要です。自治会と協働しての親睦のためのイベントは会議コミュニティを高める役割を持ちますから、これも積極的に展開することをお勧めします。


特定非営利活動法人 日本住宅管理組合協議会 埼玉県支部 

 


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