私の顧問先で、今、管理不全状態から健全なマンション管理組合運営を目指し、立直りを図ろうと奮闘している実際の管理組合の様子を紹介したいと思いペンを執りました。
建物は、さいたま市の郊外に位置し、JR線の駅から徒歩10分位の緑豊かな環境にある総戸数30戸、築25年の小規模ワンルームマンションです。全戸が賃貸物件であり、区分所有者は全て外部居住者。所謂、収益物件と云われる投資用マンションです。
また、NHK総合テレビ「首都圏ネットワーク」(2018年3月28日放送)では、埼玉県の調査によると、築30年以上のマンションの6割近くが、管理組合が機能せず、必要な修繕などの適切な管理が行われていない、またはその可能性がみられる、との報道がされました。
修繕に関して関心が高まった良い機会なので、高経年マンションでの、適正な修繕費(修繕積立金)の額はどうあるべきか、提案したいと思います。
※・修繕費:建物・設備の現状回復のための費用(ここでは、改修・改良の費用を含む)
・修繕積立金:マンションの大規模修繕のために積み立てるもの
20年ほど前に建築されたマンションで、タイルの浮きが顕著になっています。建築時にコンクリートを型枠に流し込みますが、型枠のコンパネにはコンクリートからコンパネをはがれやすくするために剥離剤を塗布しておきます。これがそもそもの大きな原因です。
剥離剤の上からモルタルを盛り、そこにタイルを貼るのですが、経年とともにモルタルは乾燥し、剥離剤の影響もあり、タイルが浮いてくるのです。これは当然のことながら新築時の施工に問題があり、少し考えれば、この工法では後々問題が起きるであろうことは素人でもわかることです。
タイルが浮いているということは、それが剥離し落下する危険性が高く、たまたまその下を通った居住者等の人命に関わる事態に至ることもあることを想像できないディベロッパーや施工会社はその資格がないと言えます。
さらに、躯体に凹みを意図的につくり、モルタルの密着性を高める「目荒らし」を怠っていることも原因の一つです。
★不適切な設計事務所問題となった要因 先ず「マンションの大規模修繕工事の設計、工事仕様書は誰が作成するか?」が問題となります。マンションの大規模修繕工事に関与する専門家は、マンション管理士・建築士・施工監理技士等です。同工事が公明性、公平性、透明性を保って履行し竣工するには、関係する専門家が相互に監視するシステムを構築しなければ、適正な工事の質向上に寄与することは難しいと思えます。マンションの大規模修繕工事の総括監理者は誰が務めるのでしょうか。マンションの区分所有者で組織された団体の組合員には、「工事の発注等は利益相反等及び適正性を監視する職責があり、そしてこれ等に対して、公明性、公平性、透明性を保持していかなければなりません。」この重責を担う処に、管理組合の役員(理事)の就任を躊躇する要因があるのではないでしょうか?そこの間隙に問題の温床があり、顕在化してきたとも言えます。
マンション管理における新旧理事の引き継ぎ後、以下に素早く新理事会を動かすか。総会決議事項の内容を実施していくうえでの大きな鍵となるのが、新理事の総会決定事項の「内容把握」です。前年度理事は総会が成立し、事業内容も決まった「ヨシ!今年の理事の仕事は、終わった~!」となりますが、総会の議事は引き継ぎではありません。項目の説明と、了解をいただいたに過ぎません。管理組合活動の運営をスムーズに行うための「活動当初」のポイントを考えて見ましょう。
第92回 マンション火災に遭遇された理事会の対応報告
第2回目の大規模修繕工事を平成26年4月からの消費税アップ前に終わらせるという管理組合の目標のため、その準備で忙しい日々のさなかにその火災は起きました。
私が住んでいるマンションは、築25年、70戸弱のマンションであります。予想もしなかった火災により、それより数か月理事会対応がますますあわただしい日々を過ごさざるを得ない状況となりました。
以下簡単に火災の概要と理事会の対応などをご報告いたします。
マンション長寿命化のために
建替えか長寿命化かといった議論は以前からありましたが、最近の傾向として「ていねいに維持・保全を行えば、長寿命化に耐える。建替えるのは勿体ない」と言った考え方によって、できる限り長寿命化を図るという方針を打ち出している管理組合が増えています。
県や市町村における「分譲マンションの管理状況届け出制度」の創設と
新規マンションには「分譲マンション管理監査確認制度」はどうでしょうか?
ご承知のように、先の国交省によるH25年度マンション総合調査結果によれば、住形態としてのマンション居住はさらに増え続けており、居住者の「永住志向」も50%を超えてきています。マンションを「終の棲家」とする人々が増えています。そのマンションで建物の高経年と居住者の高齢化という「二つの老い」が進む中、マンション管理組合とその居住者は、様々な課題を抱え、「待ったなし」「放って置けない」管理状況にあるマンションも増えています。