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居住者間のマナー
居住者間のマナー : 第14回:マンション共用部分の維持、管理について
 投稿日時: 2011-02-15 (1658 ヒット)

 10階建、90戸の住居専用マンションの最上階、最端の区分所有者が、バルコニーに家具等収納可能な大型で堅固なロッカーを無断で設置。管理人が違法だから撤去するよう進言したが、他人に迷惑をかけていないと拒否。無断設置は不問でしょうか?

■ 一般社団法人首都圏マンション管理士会埼玉県支部の回答
■ NPO埼管ネットの回答の回答
■ 一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答


 

【一般社団法人首都圏マンション管理士会埼玉県支部の回答】
マンション共用部分の範囲、種類として、区分所有法4条1項で、数個の専有部分に通ずる廊下又は階段その他構造上区分所有者の全員又はその一部に供される建物の部分(玄関ホール、エレベーター室、外壁、建物の支柱、躯体部分など)は、当然に共用部分とされています。(法定共用部分)

 

同条2項は、同法1条に規定する建物の部分(専有部分)と附属の建物(管理員室、集会室、倉庫など)は規約により共用部分とすることができると規定しています。(規約共用部分)

 

本件で問題となっているバルコニーが避難通路としての機能を有する場合には、構造及び用法に照らし、法定共用部分にあたります。ただし、日常の使用については、そのバルコニー部分に接する区分所有者に対して、規約で専用使用権が認められているのが一般的です。

 

ちなみに、マンション標準管理規約〈単棟型〉8条の別表2「共用部分の範囲」に、バルコニーが含まれ、同14条で専用使用権を付与し、同13条は、通常の用法に従って使用することを義務付けています。

通常の用法とは、区分所有者の「共同の利益」に反しない行為、即ち不法行為(危険物、重量物、工作物、外観変更など)をしないことをいいます。

不法行為に関する判例の一部を紹介します。

① バルコニーに、べニア板、発砲スチロールなどで作った温室の撤去(最高裁昭50,4,10)

② スチール製物置(一人では容易に移動できない重量)の撤去[東京地裁平3、11、19]

③ バルコニーの壁に個別設置した衛星放送受信パラボラアンテナの撤去[東京地裁平3、12、26]

 これらは、不当使用、不当外観変更などと裁判所が判断しものです。

 

ほとんどの管理組合では、「使用細則」において、バルコニーの通常の用法を具体的に明示し、バルコニーの物品の設置については、本件のようなトラブルに備えて「避難の妨げになる物品を置くことはできない」といった定めが置かれています。貴管理組合でもこうした定めがないかを確認してみてください。

このような細則の定めがない場合でも、バルコニーに大型で堅固なロッカーを設置する行為は、非常時に他の居住者の生命・身体・財産に危険を与える行為ですので、通常の用法とはいえません。このことからすれば、「他人に迷惑をかけていない」との反論には理由がないことも明白と思われます。以上より区分所有法、消防法等の関係法令、規約及び使用細則について十分説明した上で、撤去する義務がある旨を説明する必要があります。


 

【NPO埼管ネットの回答の回答】
今回のテーマがバルコニーなのか屋上テラスなのかわかりませんが、いずれにしてもその使用に関してはそれぞれの管理規約の用法の章に使用方法が規定されていると思います。管理規約に直接禁止事項が書かれている場合もあれば使用細則で定められている場合もあります。

例えば旧標準管理規約(平成9年)には使用細則モデルとして以下の細則があります。

(バルコニー及び屋上テラスでの禁止行為)

第11条 バルコニー等の専用使用権者は、バルコニー及び屋上テラスにおいて、次の各号に掲げる行為をしてはならない。


一 煉瓦、モルタル、コンクリート及び多量の土砂による花壇等(芝生を含む。)の設置又は造成


二 家屋、倉庫、物置、サンルーム、ビニールハウス、縁側、遊戯施設その他の工作物の設置又は築造


三 アマチュア無線アンテナ、音響機器及び照明機器等の設置


四 緊急避難の妨げとなる物品の設置又は放置


五 手すりを毀損し、又は落下のおそれのある物品の設置若しくは取付け


六 多量の撒水


七 その他バルコニー及び屋上テラスの通常の用法以外の使用

テーマの設問の場合、明らかに第11条二号に違反していると思われます。したがって当該区分所有者と話す際は規約または使用細則を示し説得することが必要です。  また、管理人が進言したとありますが、管理人は自分たちが雇っている使用人という感覚もあるようです。したがって素直な気持ちになれず、反発してしまうこともあるかと思います。義務違反者に対する措置は管理組合の役目です。

(標準管理規約 第67条) 区分所有者若しくはその同居人又は専有部分の貸与を受けた者若しくはその同居人が、法令、規約又は 使用細則等に違反したとき、理事長は、理事会の決議を経てその区分所有者等に対し、その是正等のため必要な勧告又は指示若しくは警告を行うことができる。

とありますので、理事長は次の交渉を管理人や管理会社にまかせずに理事長または理事長が指名した理事が交渉にあたるべきです。

納得してもらったとしても、撤去するにはある程度の時間がかかると思いますのでいつまでにという期限を設けることが必要です。

 一人の区分所有者がこのようなことを行うと他の区分所有者も同じことを行わないとも限りません。撤去してもらうためにも掲示板等に違反であることを明記し、周知徹底を図ることも大切です。


【一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答】

バルコニ-は標準管理規約では共用部分とされていますが、管理規約で特定の区分所有者に専用使用権が設定されています。専用使用権が設定されているからといって自由に使用できるものではなく、共用部分であるため通常の用法に従って使用しなければならないとされています(区分所有法第13条)。通常の用法に従った使用とはその構造や位置・形状などから自ずと定まる使用目的に従った使用をいいます。従って、バルコニ-の使用についてはバルコニ-の構造や位置、形状などから定まる使用目的に従った使用であることが必要です。

 バルコニ-の使用については、一般的に使用細則で工作物設置の禁止、外観変更の禁止等が規定されています。従って、バルコニ-の使用については管理規約や使用細則の規定を遵守して使用することが必要です。

バルコニ-の使用方法が問題になった裁判例をいくつか紹介します。

 ルーフテラスに設置したサンル-ムの撤去が認められた(京都地判昭和63年6月16日)。バルコニ-を温室に改造した工事部分を撤去して復旧することが認められた(最判昭和50年4月10日)。衛星放送受信用パラボラアンテナの撤去請求が認められた(東京地判平成3年12月26日)。バルコニ-の物置の撤去が認められた(東京地判平成3年11月19日)。

 バルコニ-の物置の撤去を認めた東京地判平成3年11月19日の判決理由は以下のものです。

 「バルコニ-は建築構造上躯体の一部であり、管理上も共用部分と考えるのが一般的であるから、居室の居住者の専用使用権が認められるとしても、建物の居住者等の緊急時の避難を妨げ、もしくは建物自体の維持、管理を妨げ、老朽化の原因となり、あるいは建物の美観を害するような利用は、その性質に照らしても予定されていないものと解するのが相当である。本件物置はスチ-ル製で間口1.5メ-トル、奥行90センチメ-トルであり、人の背丈程度の高さを有するものであり、取り外して移動させるには相当な時間と労力が必要であること、さらに、この物置の設置により、物置と床あるいは外壁との隙間に落ち葉などのごみが溜まり、排水の妨げとなるなど建物の老朽化を促す一因ともなりうること、防水工事自体は不可能ではないが、本件のような重量物に対応させるにはより高度な工事が必要となり、・・・また、外観の点でも・・・美観を保つことが・・・価値の維持に必要であることが認められる。そうだとすると、本件物置の設置は、本件バルコニ-の性質に照らして通常の利用の範囲を超えているものというべきである。」 

設問のロッカ-の設置は、最上階で最端であるため緊急時の避難通路の妨げにはならないかもしれませんが、家具等収納可能な大型で堅固なロッカーであるため、取り外して移動させるには相当な時間と労力が必要であり、家具等の収納によってはかなりの重量物となること、さらに、ロッカ-の設置により、ロッカ-と床あるいは外壁との隙間に落ち葉などのごみが溜まり排水の妨げとなるなど建物の老朽化を促す一因ともなりうること、大規模修繕工事の妨げにもなること、又美観上も問題になるため、バルコニ-の性質に照らして通常の利用の範囲を超えているものというべきです。他人に迷惑をかけていないということですが、漏水の原因や建物の老朽化にも影響をきたすため共同の利益に反する行為(区分所有法第6条第1項)であることは明らかです。

 以上から、本件ロッカ-の撤去を勧告し、撤去を求めても撤去しない場合には区分所有法第57条に基づきロッカ-の撤去の請求ができます。



 



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