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 内容には、執筆時の法令や情報に基づいたものが含まれている可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。 
 掲載されている本文及び資料は各会員団体が作成したものですので、詳細については各会員団体に直接お問合せください。

 

その他
その他 : 第27回:損害賠償について
 投稿日時: 2015-03-03 (1932 ヒット)

 マンションの1部屋を所有しており、不動産屋を通して賃貸に出しています。3日前にその部屋の上階で火災があり、その消火活動のための放水により、壁や床の絨毯及び応接セット・ピアノ・タンス等の家具類が被害を受けました。漏水するような部屋に問題があるとして、部屋の早々の修復と家具類の損害額として200万円の請求を借主から受けましたが、どのように対処したらよいのでしょうか。

 ※ 本設問のような事例は、マンション管理組合の業務に含まれません。損害賠償請求は、民法等が適用されます。よくある事例ですので一般論として各団体に回答いただいています。あらかじめご承知おきください。




■ NPO法人匠リニューアル技術支援協会埼玉支部の回答
■ 
NPO法人日本住宅管理組合協議会埼玉県支部の回答
■ 
一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答


【NPO法人匠リニューアル技術支援協会埼玉支部の回答】
 一般論として回答します。
 マンションの火災では、燃え広がった炎と煙、消火活動による放水等、上下左右の住戸やベランダ・外壁等にも被害が広がります。この場合は、「失火の責任に関する法律」(以下「失火法」※)が適用され、火元に重大な過失が無ければ賠償義務がなくなり、賠償請求ができません。

 今回の場合、第一に火元に対する請求ですが、火元に重過失がなければ、賠償請求することは、一般的に難しいと考えられます。
 第二に、貸主の責任ですが、貸主が所有しているのは専有部分であり、住戸の壁、天井や床などの部屋の内側部分だけが対象となります。従って、住戸の専有部分の損害は貸主の責任で修復することになります。また、建物自体の不具合を指摘されるとすれば、共用部の管理責任として管理組合に責任を問うことになると考えられますが、火災の際の放水での下階への漏水は一般的であり、管理責任を問うことも難しいでしょう。
 残る家財の損害については、火災が原因であれば一般的に賃借人の自己負担であり、どこにも賠償請求することができないと考えられます。
 ただし、失火法の問題は別にして、火元が過失責任を感じていれば、その範囲で見舞金等を請求することは考えられると思います。ちなみに、火元の火災保険の加入の仕方によっては、失火見舞費用などの名目で、保険金が出る場合がありますので、請求する姿勢はとっておく方が良いでしょう。

※失火法
 民法709条で、「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う。」と規定されています。しかし、明治32年に制定された失火法で「民法第709条の規定は 失火の場合には之を適用せず。但し、失火者に重大な過失ありたるときは 此の限りに在らず」と定められており、これは「火災の原因を作った者に重大な過失がなければ、失火により他者に与えた損害に対して賠償の責任を負わなくてよい」ということです。
 

NPO法人匠リニューアル技術支援協会埼玉支部


【NPO法人日本住宅管理組合協議会埼玉県支部の回答】
 一般論として回答します。
 まず、応接セット、ピアノ、タンス等の家具・什器類が放水によって被害を受けた件の賠償については、貸主の区分所有者にはその義務はないものと思われます。設問では、賃貸人は「(放水で)漏水するような部屋に問題がある」と言っているようですが、一般に建物は火災の消火での放水のときにも階下の住戸に漏水しないようにはなっていません。だから設備の瑕疵ということはできないのです。したがって、貸主に賠償義務は発生しません。また、出火元の責任は、「失火ノ責任ニ関スル法律」によって、重過失が認められなければ賠償責任を負いません。このケースの場合も、出火元の責任を問えるかどうかは、その過失の状態によります。
 つぎに、「部屋の早々の修復」についての貸主の義務ですが、これは、設問のケースの契約内容やその他契約にかかわる事情を詳細に検討していかないと一律にはいえないところがありますが、これまでの賃貸関係の諸判例からみると、「部屋の修復」について、貸主にまったく責任がないとはいえないと思われます。
それは、民法606条で、「賃貸人は、賃貸借の使用及び収益に必要な修繕をする義務を負う」とあり、この修繕義務は、原因が不可抗力の場合(賃貸人に責任がない場合)であっても、義務があるとされているからです。

特定非営利活動法人日本住宅管理組合位協議会埼玉県支部
柳沢 明夫


【一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答】
 一般論として回答します。
1.火災の消火活動の放水による壁や絨毯及び応接セット・ピアノ・タンス等の家具類の被害は、火災を起こした上階の住人が損害賠償すべき性格のものです。ところが、火災による損害については失火責任法(「失火の責任に関する法律」)によって免責になる場合があります。失火責任法では「民法第709条の規定は、失火の場合には、これを適用せず。ただし、失火者に重大なる過失ありたるときは、この限りにあらず。」とするものです。
  民法第709条によれば、失火により他人に損害を与えた場合で「故意又は過失」がある場合には損害賠償の責任を負わなければなりません。ところが、失火の場合に損害賠償の責任を認めると、失火者に過大な責任を課すことになり賠償することが困難であるため、重大な過失がなければ責任を負わないように失火責任法が制定されました。
  従って、上階の住人に故意又は重大な過失がなければ損害賠償を請求できないということになります。
  ここで、重大な過失と認められた場合とは、寝たばこによる火災、石油ストーブをつけたまま給油を行い石油がこぼれて引火したことによる火災等です。

2.問題は、火災を起こした上階の住人に損害賠償を請求することができない場合に、貸主である大家に損害賠償を請求することができるかということです。貸主は借主に対して、故意又は過失がある場合に債務不履行責任を負います。そこで、漏水するような部屋に問題があることを理由に貸主に損害賠償を請求することができるかが問題になります。
  マンションは構造上上階で漏水事故が発生した場合には漏水の被害が発生します。風呂や洗濯機の水漏れ事故や給・排水管の水漏れ事故で階下に被害が発生することは避けられませんので、消火活動による放水があれば当然階下に漏水の被害が発生します。
  従って、漏水するような部屋に問題があるという主張はできず、それを根拠に貸主に家具類の損害額として200万円の損害賠償を請求することはできないということになります。

3.借主の天井や壁の修復工事の請求はどうでしょうか。
  貸主には借主に建物を使用収益させる義務があり、建物が十分に使用収益できないときには建物を修繕する義務(民法第606条第1項)が発生します。設問では、消火活動による放水で壁や天井等が被害を受けたため、貸主には修繕する義務が発生します。従って、借主から修復してほしいと請求された場合には修復工事をしなければなりません。

4.マンションは色々なリスクが発生する可能性がありますが、設問の様に火災が起きて被害が生じた場合に火災を発生させた住人に損害賠償を請求できない場合があります。
  そこで、この様なリスクを回避するためには各自で火災保険に入っておくことが必要です。
  設問の場合に、貸主が火災保険に入っていれば建物の修復費用は火災保険で出ますし、借主が家財の火災保険に入っていれば家具等の被害について火災保険の保険金がもらえたはずです。

一般社団法人埼玉県マンション管理士会



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