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 内容には、執筆時の法令や情報に基づいたものが含まれている可能性がありますので、あらかじめ御了承ください。 
 掲載されている本文及び資料は各会員団体が作成したものですので、詳細については各会員団体に直接お問合せください。

 

その他
その他 : 第43回 マンションの風水害対策をどのように講じればよいか
 投稿日時: 2021-12-14 (129 ヒット)
【設問】
 向こう30年以内に70~80%でマグニチュード7クラスの首都直下型地震が起こる可能性があると報道されています。また、近年の地球温暖化現象により、集中豪雨や強風を伴う大型台風の日本上陸が増えています。
このような中、どのように風水害対策を講じればよいか。

【回答団体】
・NPO埼管ネット
・NPO日本住宅管理組合連合会

【NPO埼管ネットの回答】
近年、地球温暖化現象により、強風の伴う集中豪雨が多く発生しています。2019年に発生した台風19号は関東にも大きな風水害被害を残しました。増水した多摩川の泥水が下水道管を逆流し、武蔵小杉駅周辺を水浸しにした事例があります。
 タワーマンションも電気設備がある地下3階が浸水。真下の地下4階にゲリラ豪雨に備
えた雨水貯留槽があり、建物周辺の雨水升を通じて大量の水が流入し、下水道に排出するポンプの能力を超え、地下3階に水があふれました。
 原因は近くの多摩川につながる排水管が、多摩川の水位が上がり、逆流したためとされ
ています。住民には予想もできない事態でした。
 超高層マンションにとって水害は無縁とみられていましたが浸水被害を教訓として、「浸水対策」のガイドラインが2020年6月に国土交通省と経済産業省から発行されました。
マンションの風水害対策については、未知な点も多いとされ、管理組合も不安を抱えています。これまで、地震、火災対策については防火訓練等で一定の成果を得ましたが、水害対策は盲点でした。
〇 風水害時、専有部分居住者の取り組み対策
1 TV・ラジオ・インターネット情報からの天気予報の把握
2 停電・断水への備え、飲料水・食料品の確保
3 情報機器の充電、バッテリーの確保
4 ハザードマップの確認
5 避難場所の見きわめ
6 ベランダ・バルコニーの置物は屋内へ
7 飛来物による窓の破損防止
8 窓サッシからの吹き込みを防ぐ
〇 管理組合の応急対策
1 「土のう」「止水板」の用意
2 管理委託契約「24時間監視」の確認
3 風水害保険への加入の確認
4 地下ピット駐車場のある場合車を地上へ
〇 分譲マンション総合保険の保険金請求の適用可能か。申請するためにも、被害に遭った部分の写真撮影は必ず行ってください。被害箇所1か所に付き、角度を変え4~5 枚、遠近それぞれ4~5枚撮影しておき、後日の証に備えて下さい。
1 地震対策
 2011年(平成23年)3月11日に宮城県北部で発生した我が国観測史上最大となる東日本大震災はマグニチュード9、震度7が観測され、埼玉県内においても幅広い市、町の地域で震度5を記録しました。いざと言うときの防災対策に努め、慌てずに減災に努めて下さい。
 緊急地震速報の活用、テレビ・ラジオ等の放送波、携帯電話(スマートフォンを含む。)による一斉同報機能(緊急速報メール/エリアメール)により、震度5以上の地震が来ることを予想反映した緊急地震速報が報知されます。家にいるときはとにかく自分の身を守ることを優先する必要があります。
 長周期地震動による被害は、高層階になるほど大きくなる傾向にあります。マンション上層階の揺れは、地上で感じる揺れの2〜3倍以上となることもあります。室内が大きく揺れることで転倒したり、家具が激しく倒れたりする被害が予想されます。
□ 自主防災組織の結成(消防計画による自衛消防隊を準用。)
管理組合内で、防災委員会を組成し、各担当を選任し共助による活動
□ 消防法による、防災訓練の実施、防火訓練と合わせて、防災訓練も一緒に実施すれば効果的
□ 管理会計に災害緊急時対策費用を予算化、年度予算に組み入れる。
□ 備蓄品(道具・備品・非常食類等)の購入、管理
□ 災害時要援護者の把握、高年齢特に独居老人の方への配慮
□ 緊急時の連絡先の確認、親戚、縁者の方の登録依頼、(個人情報保護法に留意。)
□ 広域支援体制の利用(外国人居住者への配慮。)
□ 住居を記した防災用名簿の作成(外部、第三者への情報漏洩は絶対に避ける。)
□ 居住者の安否確認体制の整備
□ 災害発生時における被害状況・復旧見通しに関する情報の収集・提供体制の整備
□ 災害時の避難場所の周知
□ 災害対応マニュアルの作成・配付
2 マンションにおける防火管理者の設置
 マンションは、「非特定防火対象物」に該当し、全体の収容人員50人以上の建物において防火管理者の選任が必要(消防法施行令別表第1(5)項)です。ここで、注意しなければならないのは、収容人員とは、マンションの戸数ではなく、マンションに常時居住している方の人数としますが、実際には、実態把握が困難なため、部屋の間取りによって1 戸あたりの算定居住者数で計算収容人員を計算します。
1K ・ 1DK ・ 1LDK ・ 2DK 2人
2LDK ・ 3DK 3人
3LDK ・ 4DK 4人
4LDK ・ 5DK 5人
となります。
1 棟に 2LDK が5 戸、3LDK が10 戸の場合
3 人×5 戸+4 人×10 戸=55人となり防火管理者の選任が必要となります。
〇災害想定に基づいた消防計画
消防法第8 条により共同住宅における共有部の管理について権原を有する者(管理権原者=理事長 )は、火災、地震等から自分達の共同住宅を守るために、 防火管理者を定めて、消防計画を作成させ、自衛消防組織を設置し、防火管理業務を行わなければなりません。
また、マンションなどの共同住宅には防災管理者の選任は義務付けられてはおりませんが、地震災害などに対応した防災体制の整備が大切です。
 防火訓練に準じて自衛消防組織を有効に活用し、マンション住民のマンパワーを生かして、実体のある防災管理体制を構築することが大切です。消防(防災)訓練を未実施のマンションでは、防災訓練も併せて計画を立てて、しっかりとした定期的な訓練を行うようにして下さい。
以上__

【NPO日本住宅管理組合連合会の回答】
国の中央防災会議における防災対策実行会議では、さまざまな検討結果を踏まえ、これまで首都直下地震対策の対象としてこなかった相模トラフ沿いの大規模地震も含め、様々な地震を検討対象としており、これまでの被害想定のように単に人的・物的被害等の定量的な想定をするだけでなく、防災減災対策の検討に活かすことに主眼を置き、それぞれの被害が発生した場合の被災地の状況について、時間経過を踏まえ、相互に関連して発生しうる事象に関して、対策実施の困難性も含めて、より現実的な想定を行いました。
防災・減災対策の対象とする地震は、首都中枢機能への影響が大きいと考えられる都心南部直下地震(Mw7.3)を防災対策の主眼としています。それに伴って埼玉県や県内の地方自治体も対策を進めています。
この地震による埼玉県における東部全域で震度6強〜6弱と、強い揺れが想定されており、人的被害や物的被害も多大であるとしています。

これらの直下地震は、いつ起きてもおかしくない状態にあるとの認識が必要です。自分が居るところに地震は来ないと思ってしまう「恒常性バイアス」は、楽観的になれますが、いざ大きな揺れが起きたときの対応はむずかしく、身の安全を確保することに影響を与えかねません。今のうちに減災と身を守ることについて考え、対策を立てておくことが必要です。

マンションでは大きな揺れにともなって、共用部分の脆弱な箇所がないかを、専門家と共に建物等を点検し、安全性を考慮することが求められ、場合によっては修繕や改修を行う必要があります。耐震についても確認しておき、安心できるマンションにしておくことがまずは大切です。耐震性については新耐震の建物であるか否ですが、旧耐震の場合、耐震診断について理事会等で検討することも必要になります。
ただし旧耐震でも、旧公団の5階建ての壁式構造の建物は、構造上地震に強いとされています。もちろん、絶対はありません。ピロティーや壁式ではない建物が混在している団地もあるので、確認することをお勧めします。
建物以外の問題として、熊本地震では液状化によって集合住宅が傾いた例がありました。

東日本大地震の事例
新耐震の建物でも、震度6強程度になると壁にひび割れ等が発生することが、東日本大震災や熊本地震で明らかになっています。つまり、大きな地震の場合、建物は無傷ではないということです。
外壁がタイルの場合、大きな揺れによって剥落して落下することも考えられます。下に居る人への被害の恐れがあるので、落下するような造作物がないかも確認しておきたいところです。
東日本大地震の時、仙台市にあるマンションでは、屋上の受水槽の大量の水が一気に落下したのですが、その様子が防犯カメラに映っていました。幸い、そこに人がいませんでした。そのマンションには集会所がなく、1階の狭いホールを最前基地とし、理事長が先頭に立って居住者の安否確認等を行いました。また、居住者に呼びかけ、余っている懐中電灯や水、食べ物、暖房器具などを基地に運んでもらい、必要な人には取りに来てもらいました。
一番困ったのはトイレと寒さだったと、当時の理事長は語っています。つまり、トイレに困ると水分を制限し脱水症になるなど、体調を壊すことにつながります。これらは、東日本大地震の多くのマンション等で発生ました。
トイレが使えなくなったのは、雑排水が破損したりつなぎ目がずれるなどして使えなくなったことと、水道も出なくなっていたことにあります。
理事長によると、「エレベータが使えない10階建てのマンションの上階から、水などをまとめて大きなバッグに入れて運ぼうとしたが、途中で足も手も動かなくなった」「家に戻り、小さなバッグを持ち出し、水などを少なめにして運んだ」とのことでした。日頃はエレベーターを利用しているので、非常階段を使ったこともなかったことを反省していました。高齢者は階段を降りることもできないので、水や食料を運び、頻繁に健康状態などを確認するために訪問したそうです。
防災訓練は行っていたのですが、「非常階段を含め、ありきたりの訓練に終わっていた」と理事長は述べていますが、車での出勤途中に大きな揺れに襲われた彼は、会社に行くことなくすぐにマンションに引き返し、その被害状況などの把握に努めたのです。それを可能にしたのは、「出勤していた管理員が、指示にしたがい適切に行動してくれ、また、それ以上にアドバイスもくれた」と、優れた管理員さんに感謝しています。

これらの教訓から得られるのは、地震だけではなく風水等による災害に対しても言えますが、共用部分の対策と専有部分の対策、物心両面の準備です。それには災害の想定とそれに伴う被害想定を見積もっておくことが重要になります。
 非常用食料・飲料やトイレ、女性の生理用品、赤ちゃんのミルクやオムツなどの備蓄、風呂の水の貯め置きなど、家具転倒対策を含め、自分で取り組むことも多いと言えます。

タイムラインを作成し、いざという時にそれに沿って行動できるようにしておきます。タイムラインは地震や河川の氾濫、強風などの発生後、いつ、誰が、何をおこなうかを明示し、災害を最小にし、身を守ることを主眼にしています。管理組合(自治会)のタイムライン(共助)と各々の住戸単位(自助)で作成するマイタイムラインを作成します。
タイムラインは、できればからだに覚えさせておくこと。そして玄関先やバッグの中に入れておき、いつでも確認できるようにしておきます。時々見直して、書き直すなどします。
管理組合においては理事、災害担当理事や委員会を設置し、連携するようにしたタイムラインが欠かせません。昼間は働いていてマンションには居ない理事等もいるので、それらも勘案して作成しなければなりません。
タイムラインは作成のプロセスが大切で、関係者が集まって行うワークショップスタイルが望ましいようです。マンションの立地を確認しつつ、地震や河川の氾濫等による浸水被害、強風等の被害想定を、みんなで考えながら作成します。管理組合のタイムラインはみんなで共有し、時々見直して修正を加えることも必要です。作成して終わり、では意味がなく、浸水しそうな場所や土砂崩れしそうな場所を訪れることなど、事前に十分に確認しておくことが大切です。
地方自治体が作成・公表しているハザードマップは、マンション周辺の内水被害や土砂災害などを知ることができる価値ある資料です。

専有部分の家具等の転倒対策
 震度6強以上(場合によってはそれ以下でも)になると、家具、冷蔵庫などの転倒、テレビなどが飛ぶなど、それらが凶器になることが、過去の大震災でわかっています。阪神淡路大震災では、死亡原因の8割が家具や倒壊した家の下敷きによります。
 これは直下型地震であったことが大きな要因ですが、家具を固定していれば、と考えさせられます。また、一部木造住宅の耐震性能の脆弱さも明らかになりました。直下型でなくても強い揺れによって家具などの転倒はあり得るので、日頃の備えが不可避と言えます。
 家具を壁に固定にする場合、管理組合は一定の仕様等を決め、それを居住者に守ってもらうことが必要になると考えられます。やたらに壁に穴を開けたりすることは、避けなければなりません。
 いずれにしても家具の固定は必須ですが、信頼できる方法によって行う必要があります。
家具の転倒対策をしている住戸も多くないという調査もあります。
  東京消防庁が東日本大震災時の東京都民の対策を聞いたアンケートでは、家具転倒対策を実施した理由で、最も多い回答は「自分や家族を守るため」であり、次いで多い回答が「簡単にできるから」です。家具転対策の普及には、自助意識を家族で話し合っておくことが重要になっています。
地震になってから考えるのではなく、震前、震中、震後についてしっかりと準備が大切になっています。

急速に発達した積乱雲の影響による強風にも注意が必要です。2019年の台風15号の接近や強風でベランダに置いてあった植木鉢などが飛び、窓ガラスや戸境壁を破ったという報告が、千葉県のいくつかのマンションで確認されています。「今までの台風ではそのようなことはなかったので、大丈夫だと思った」と、管理組合関係者や管理会社は話しています。
それらの管理組合は、損害保険がもらえたので一安心ということで、被害が忘れ去られようとしています。減災のためには自らの被害はもとより、他の管理組合などの被害をも教訓にして、それを生かして対策を立てておくことが大切です。
河川の氾濫にも、十分に注意したいものです。

これらは今まで経験したことのないことばかりですが、今後も想定を超える災害が起こることを考えた対策が求められています。管理組合で取り組むべきこと、居住者が準備しておくことなどを整理して、タイムライン作成から取り組みましょう。


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