当団体について
マンションネットワークの活動目的
分譲マンションには、「複数の人間が、共同所有するひとつの建物内で生活を営む」という特性があるため、様々な問題やトラブルが発生しがちです。これらは、マンションの各所有者や居住者が協力して自ら解決していかなければなりません。
しかし、そのためには、各所有者の合意形成を円滑に行ったり、専門的・技術的な話を理解する必要があるなど、居住者の努力のみでは解決が困難な場合もあります。
埼玉県マンション居住支援ネットワークは、情報提供やセミナー・相談会の開催などの活動を通じて、マンション管理についての様々な問題の解決に苦慮されている方々をサポートします。

埼玉県マンション居住支援ネットワーク パンフレット
設立趣旨
本県のマンション居住者は、すでに約80万人に達していますが、マンションは、一つの建物を多くの人が区分所有し、共同で維持管理を行うという特性から、区分所有者間の意思決定の難しさ、権利・利用関係の複雑さ、建物構造上の技術的判断の難しさなどがあり、建物を維持管理していく上で多くの課題を有しています。
そのため、今後、建築後のマンションが、適切な修繕がなされないままに放置されると、深刻な社会問題を引き起こす可能性があります。
こうした問題に対処するため、最近におきまして、「マンション管理の適正化の推進に関する法律」、「マンションの建替えの円滑化等に関する法律」が施行され、「建物の区分所有等に関する法律」が改正されております。
しかしながら、マンション管理組合及び区分所有者等は、適正な維持管理を行っていくために必要な法制度及び支援制度についての情報や建築物に関する知識が必ずしも十分でないのが実情です。このため、マンションの維持管理のための知識の普及や適時適切な相談などの支援が不可欠です。
また、マンション管理組合及び区分所有者を支援する各団体においても、情報の共有化・相互の啓発を図ることを通じて、マンションに関する課題を多面的に把握し、連携・協力を深めながら、課題解決に取り組んでいくための枠組みづくりが必要となってきています。
このような背景のもと、マンション居住を支援する特定非営利活動法人、専門家団体、公益企業団体、埼玉県及び市町村が相互に連携し、マンション管理組合、区分所有者等に適切な情報提供及び普及啓発を行い、良好なマンション居住環境及び地域住環境の形成に資することを目的として、ここに「埼玉県マンション居住支援ネットワーク」を設立するものであります。(平成16年10月30日)
沿革
2004年(平成16年) |
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2005年(平成17年) |
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2007年(平成19年) |
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2011年(平成23年) |
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2012年(平成24年) |
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2013年(平成25年) |
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寄稿文
「埼玉県マンション居住支援ネットワーク」設立10周年に寄せて
あっと言う間の10年
埼玉県マンション居住支援ネットワーク(以降、ネットワーク)が設立して10年を超え、次の新たな課題に挑戦しようとしていることに、設立時に立ち会えた一関係者として深い感銘を受けます。
埼玉県をはじめとする地方公共団体、マンション管理士会や建築士の皆さまの専門家団体、住宅供給公社とNHKの公益企業団体、マンション管理センターやマンション管理業協会と住宅金融支援機構の広域的支援団体、そして私たちNPO団体からなる正会員、また、準会員、協力会員、賛助会員など多くの団体や個人の皆さまのご理解の成果であると思います。そして、ネットワークの設立の経緯を知る一人として、皆さまに感謝とお礼及び設立の理念をあらためて伝える使命を感じて筆を執りました。
今から15年前のこと
今から15年ほど前に遡ります。私たち特定非営利活動法人 日本住宅管理組合協議会埼玉県支部(以下、NPO日住協)は、県内のマンション管理組合の相談対応や管理組合運営等の勉強会及び工事の事例研究セミナーなどを開催していましたが、いくつかの点で行政のちからが必要であることを痛感していました。
相談の内容はさまざまですが、当時は、分譲マンションに対する国や県の施策は、戸建て住宅に比べると皆無と言ってもよい状態でした。
その中でも、当時からマンションが多かった川口市は、マンション管理の実態を把握しようとしており、また東上線沿線のある市では管理組合同士の情報交換会に市の担当者が出席して実態を知る努力をしていました。
はじめての県への訪問
私たちは、管理組合の運営強化を図るための支援として勉強会やセミナーを都度開催しています。しかし、参加者を集めるのに非常に苦労をします。管理組合は問題を抱えているのに、顕在化しないうちに理事の任期の1年が経過し次々と交代してしまうので、問題を把握していてもそれらを継続することがうまくいかず、問題はどんどん膨らんでいき、しかも解決はできない状態が続いています。
県内の管理組合も同じような状況であり、それを少しでも解消したいと思い、まず、勉強会を開催するにあたり県に後援をお願いしようと住宅課を訪れたのです。その場で、県内のマンションのおかれている状況を説明しました。その後、何回か住宅課の担当者とお会いしているうちに、埼玉マンション管理支援センター、埼管ネットともう一つの管理組合4団体と住宅課との意見交換会が定期的に開催されるようになりました。これ自体が画期的な出来事でした。この入口がなければ、今日のネットワークは存在をしていませんでした。その担当者のお名前とお顔は今でも憶えており、心から感謝している次第です。
マンションの現状説明をていねいに行う
しかし、入り口はできたものの、マンションの現状を理解していただくにはかなりの時間を費やしました。
「マンションは社会の重要なインフラなので、県が積極的な施策を行ってほしい」と述べた時、「マンションは個人の資産」という国が繰り返し発言してきたそのままの見解を言われ、壁は厚いと思ったのを覚えています。
しかし、4管理組合団体のすべての理事は現にマンションに住み、管理組合の理事を経験するなど、マンションの課題、管理組合の運営上の問題を熟知しており、声は異なるものの、集約するとほぼ一致する意見を述べ続けました。県の担当者もじっとそれらの意見を聞き、また、相互に意見を述べ合うなど、マンション問題を知ろうとする態度が鮮明になってきました。
意見交換会はその後、事例研究会として実際に管理組合で起きたこととその解決策を管理組合団体ごとに順番に発表し、それに対して意見交換をするといった、実践的な勉強会へと発展しました。
適正化法が議論されはじめた
その頃、NPO日住協の当時の会長は国のマンション施策に関する委員等を務めており、埼玉県で私たちが述べている内容と同じような意見を、関係者に述べており、一方、議員立法で制定されたのが「マンションの管理の適正化の推進に関する法律」(平成十二年十二月八日法律第百四十九号。以下、適正化法)です。適正化法が施行することが見えてきた時期と重なり、埼玉県も取り組みを強化してきました。
いずれにしても、マンション管理組合に対する支援についてのタイミングが県と私たちで合致しはじめました。
管理組合に対する施策を行うのは、本来、国や県などが主導することが本筋であることは言うまでもありません。しかし、その主体は管理組合であるということを考えると、単に引っ張るだけではいけませんし、かといって行動を待つだけではなかなか前進しない管理組合もあります。そのバランスをもった施策が必要なのです。
マンション問題を根底から考える組織づくり
バランスを持ちつつ管理組合と組合員そして居住者を支援するには、マンションのステークホルダーにネットワークに参加してもらうことが必要です。
そして、私たち管理組合団体だけではなく、マンション管理組合の支援にとって必要な団体などを広く仲間として入っていただくことにし、そのための組織をつくることを埼玉県から提案されました。その名称についても議論をし「埼玉県マンション居住支援ネットワーク」となりました。マンションを抱える市町にも広く声をかけ、参加を求め、専門家団体としてマンション管理士会などにも参加してもらうなど、ネットワークのカタチが見えてきました。埼玉県では、マンションに関わるさまざまな団体等をその輪に加え、マンション問題を根底から取り組もうとしたのが本ネットワークであり、全国的にみてもユニークな組織と言えます。
会費は痛かった!が、“管理組合のため”を遂行するために
ネットワークは、どのような事業を行っていくか、それにはいくらかかるか、といったようなことを決めていきましたが、そこで、大きな課題になったのがネットワークを維持していくために必要な資金についてです。埼玉県は一定の額しか出せないということから、参加する団体ごとに会費をいくらにするかなどを含め、会則を作り上げていきました。
ここで、当時の管理組合団体の心情を吐露しておきたいと思います。私たち4管理組合団体は資金がなく、運営はすべて私たちのボランティアで成り立っています。そういう状況なのにネットワークに参加することになると会費が必要になるわけです。これは、かなり痛い、というのが管理組合団体の偽りのない状況で、これは今でも変わっていません。しかし、ネットワークの理念等を考えると、管理組合をもっとも身近に見ている私たちの参加は、それなりの価値があるのではないかということで参加を続けているのです。
埼玉県と4管理組合団体は、何事もしっかりと議論をし、理念を含め多くのことを積み上げてきました。それらを、当然のように行ったことがネットワークという組織をつくることができた大きな要因です。
ネットワークの原点
ネットワークの会則の目的の箇所は抽象的ですが、真に大切なのは、その裏側にある理念です。先述したように、行政が行うマンションに対する施策の一部を、このネットワークが担っているという事実は非常に重みがあります。
行政は、適正化法を根拠として施策を行いがちですが、もっと大切なのはネットワークの理念です。それは、マンション管理組合の実情を常に把握し、私たちは目線をそこに合わせて、さまざまなマンションの課題と向き合う姿勢です。いわば現場主義とでも言いましょうか。その視点こそがネットワークの原点です。
法律があるからそれに対応するという姿勢だけではなく、重要な社会インフラとしてのマンションを維持管理するための管理組合のリアルな実態、実情、課題や問題を把握し、それに対応しようとする姿勢と行動こそが求められています。
これからも可能性を求めて
県内のマンションは日々増えており、近い将来には建替えなど難しい取り組みも増えてくると思われます。しかし、マンションの課題は古典的なものが多くあり、それらが姿、カタチを変化して現われてくるのです。新築時にはわからなかった問題などが、その数年後には現れ、場合によっては深刻な問題に発展をすることも多々あります。マンションはまさに生きているのです。
理念にも終わりはなく、前進あるのみです。
ネットワークの活動は、まだまだ可能性があると思っています。これからも多くのステークホルダーの皆さまのご理解のもと、県内のマンション及び管理組合などをナビゲートすべく、議論を深めて精度と効果を高められるよう、精一杯努力をしたいと思っています。今後とも、よろしくお願いいたします。
埼玉県マンション居住支援ネットワーク 理事
特定非営利活動法人
日本住宅管理組合協議会 埼玉県支部(NPO日住協)
支部長 柿沼 英雄
会員団体一覧
正会員
準会員
協力会員
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賛助会員
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