マンション管理コラムColumn
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コラム:外壁タイルの浮きが多発している!
20年ほど前に建築されたマンションで、タイルの浮きが顕著になっています。建築時にコンクリートを型枠に流し込みますが、型枠のコンパネにはコンクリートからコンパネをはがれやすくするために剥離剤を塗布しておきます。これがそもそもの大きな原因です。
剥離剤の上からモルタルを盛り、そこにタイルを貼るのですが、経年とともにモルタルは乾燥し、剥離剤の影響もあり、タイルが浮いてくるのです。これは当然のことながら新築時の施工に問題があり、少し考えれば、この工法では後々問題が起きるであろうことは素人でもわかることです。
タイルが浮いているということは、それが剥離し落下する危険性が高く、たまたまその下を通った居住者等の人命に関わる事態に至ることもあることを想像できないディベロッパーや施工会社はその資格がないと言えます。
さらに、躯体に凹みを意図的につくり、モルタルの密着性を高める「目荒らし」を怠っていることも原因の一つです。関係したディベロッパーや施工会社は自社の責任を感じよう
施工時に躯体とタイルが付いていれば良いと言った、品質をないがしろにした基本無視の施工は、建築のプロとしていかがなものでしょうか。保証期間を無事に、正常に見えれば良いと言った安易で誤魔化しの考え方は、鉄筋の本数を少なくしてコストを抑制したり、杭が、必要な地盤まで届いていないと言った問題と同義であり、許せるものではありません。
外壁がタイルによって綺麗に仕上がっていれば、素人にはわかりませんから、品質をないがしろにする、ディベロッパーや施工会社のつけ込む余地があるのでしょう。見かけだけの判断は失敗の元
マンションを購入するに当たって注意したいのは、見えない部分がどのように造られているかなのです。もちろん、素人は図面などを見せられても理解することが大変ですから、購入の際は質問したい項目をリスト化し、それをもとに営業担当者だけではなく技術者にも訊くことが必要です。その時の対応に誠実さがあるかなども判断材料の一つにします。
鉄筋の本数が不足していた構造の問題や杭の問題もそうでしたが、外壁タイルの浮きの問題も、共通しているのは購入者のことを考えないで見かけさえよければ売れるといったディベロッパーや施工会社の姿勢です。
品質問題やいい加減な施工は蔓延している
2017年12月現在、自動車、部材などの大手メーカーの品質の偽装が次々と明らかになっています。「わからなければ良い」「見つからなければ良い」というような誤魔化しを何年にも渡って行ってきたこれら企業は「再発防止」という言葉で具体的ではありません。具体策と言っても現場と経営とで乖離していることが表面化しているのも共通の問題です。
品質第一と謳ってはいるものの、実際は工程の手間を省くことでコストダウンを図り、そのつけが何らかのカタチで顕在化し、消費者である私たちにしわ寄せが来るのです。この構図は外壁タイルの浮き問題も同じです。
根気強く交渉しよう
施工会社などは、そのあるべき姿として「顧客満足」や「品質第一」を謳いつつ、現場では人員不足や過重労働と言った問題が改善されず、それこそ気合いで顧客満足や品質第一を言うだけ。実際は10数年後にタイルが浮くなどの深刻な問題が表面化するわけです。
しかも、「保証期間は10年間」などと開き直るスーパーゼネコンもありますから、根気よくディベロッパーや施工会社と交渉をし、損害を被った費用をきちんと負担してもらうことが大切です。実際にスーパーゼネコンがその非を認め、費用を負担した例がいくつか出ています。
ただし、これらの事例では施工会社は管理組合と、不手際があったことを外部に口外しないなどの「覚書」を取り交わしています。したがって表面化はしていません。
管理組合は自マンションだけではなく日本の住宅事情を良くすることを視野に入れ、施工会社などの品質維持を正し、「経年劣化」などと逃げ切ることは正義に反することを知らしめ、根気強く交渉することも必要だと思うのです。
2018年1月5日
NPO法人日本住宅管理組合協議会 埼玉県支部