マンション管理コラムColumn

居住者間のマナー

第7回:ペット飼育の可否があいまいなマンション

第7回:ペット飼育の可否があいまいなマンション

築10年のマンションです。管理規約では、「他人に迷惑をかけるペットの飼育は不可」とされていますが、分譲時の担当者が「ペット飼育可能である」と説明していたため、現在1割程度の居住者が犬・猫等のペットを飼っている状態です。また、居住者の中には管理規約の規定を根拠に「犬・猫を飼えないようにすべきだ」と理事会に苦情を言ってくる人もいます。
理事会としてはどう対処したらよいでしょうか?


【NPO埼玉マンション管理支援センターの回答】

最近は、ペットブームが起こるなどペット飼育に寛容な社会になりつつあります。また、少子高齢化といった環境の変化により、ペット飼育可のマンションも増加傾向にあるのが実情のようです。そして何より、ペットが心の支えとなっている人がいるのは事実です。こういった事情を考慮すると、賛否双方の考え方を尊重しながら柔軟に対応する必要があります。管理組合のリーダーシップが問われるところです。次のことを参考に取り組んでみてはどうでしょうか。

● まず、組合員の皆さんが、規約と現状をどのように受け止めているのかを改めて確認することが必要です。築10年とのことですが、この間には組合員の入れ替わりも少なからずあったでしょうし、住み続けている世帯でも家族構成が大きく変わってきていると思います。また世の中のペットに対する考え方には変化が生じてきています。理事会が主体となってアンケート調査等を行ってみてください。

● アンケートにより組合員の認識が把握できたら、説明会などを開催し、組合員の意見交換を行います。この段階で結論を急いではいけません。じっくりと時間をかけて、賛成者・反対者両方の意見を聴き、マンションとしてどのような方向で対応すべきかを探っていきましょう。

● 意見はいろいろと出ると思いますが、対応策は、①ペットの飼育を認める、②一切認めない、③条件付きで認める、のいずれかになるでしょう。

「条件付き」は、「現在飼育しているペットについてのみ一代限りの飼育は認める。但し、ペットを飼育している組合員はペットクラブなどの組織をつくり、自律的に管理を行う。」というのが一般的です。ペットクラブが毎月千円程度の「ペット飼育負担金」を徴収し、「ペットクラブだより」を定期的に発行するなどして、他の組合員の理解が得られるよう努力しているケースもあります。

● 最終的には総会で意思決定を行うことになります。過半数の賛成による普通決議で決定することもできますが、のちのちにしこりを残さないためにも、議論を尽くした上で、全組合員の4分の3以上の多数決で決定したいところです。

● 決定した事項は明示しておく必要があります。「ペット飼育規定」などの細則として定める方法もありますが、やはり何らかの形で規約に明記しておくのがベストです。その場合、規約の変更の手続きも必要となりますので注意してください。

なお、明文化する際には、国が定めている「マンション管理標準規約」などに例文がありますので参考としてください。また、「小鳥、小魚以外の迷惑をかける小動物は禁止」といったあいまいな表現はトラブルの原因となります。注意してください。

● マンションでのペット問題の裁判例はあまり多くはないですが、最高裁で「ペットの飼育を禁止した規約は有効」との判決(平成10年3月26日)が出された例があります。また、名古屋高裁では、「総会決議の効力を規約と同様に認める」との判決(平成17年4月27日)が出されています。

なお、現在ペット問題が表面化しているわけですが、そこにいたるまでの間、管理組合はどのように対応していたのでしょうか?余談ですが、もし何の手も打っていなかったとすれば、組合の管理運営にも問題があるといえます。

また、ペット問題は、騒音問題と並ぶ、「マンション二大トラブル」のひとつです。これらの遠因には、マンションのコミュニティの欠如があるといわれます。これら問題の解決過程では、当事者間での話し合いは欠かせませんが、日常の交流があるかないかでは、その結果に大きな差が出るようです。まずは「日常の挨拶から」の人間関係が基本となります


【NPO日本住宅管理組合協議会埼玉県支部の回答】

このような内容の規約をもっている管理組合はかなりあるようです。

この規約は飼育禁止動物について、「他人に迷惑をかけるペット」と限定しています。逆に言えば、「他人に迷惑をかけないペット」なら飼育可能であるといえます。そう考えれば、分譲時の担当者の説明もあながち間違いとはいえません。一方で、迷惑であるかどうかは各人の主観により判断されるものです。そう考えれば、「私は動物が嫌いなので、どんなペットでも私にとっては迷惑だ。飼うのはダメだ。」という主張ができることになります。

この規約の表現はあいまいで不備なものです。賛成派・反対派どちらの言い分もそれなりの根拠があるといえますので、どちらか一方に軍配をあげるわけにはいきません。ただひとつ間違いないのは、現状では「ペット全面禁止」と判断するわけにはいかないということです。

理事会の対処としては、トラブルの元であるこの不完全な規約の改正に向けた努力をされるのが一番よいと思います。この際ですから、管理組合員の意向を反映させるとともに、ペット飼育の可否が誰にでもわかるような内容にしてみてはどうでしょうか。

「ペット飼育可能」とする場合は、飼える動物の種類だけでなく、その匹数や大きさの限度、共用部分におけるルールまで考慮すべきです。また、ペットの登録制度や「ペットクラブ」のような飼育者組織への加入義務化なども検討しましょう。

また、最近ではミニブタ・ヘビなど、昔では考えられなかったような様々なペットが登場しています。そういったペットの飼育(※可否も含めて)についてもカバーできるような内容にした方がよいでしょう。

「ペット全面禁止」とする場合は、そこまで細かい検討は不要です。ただし、部屋の外に出すことのない小鳥や観賞魚の扱いぐらいは、最低限明確にしておく必要があります。

しかし実際のところ、規約の改正には総会での4分の3以上の賛成が必要です。このため、最初から賛否が明確に分かれるペット問題では、理事会がどんなに努力しても規約改正に至らないことが多いのが現実です。この場合は次善の策として、「他人に迷惑をかけるペット」の定義を明確にすることが考えられます。理事会が主体となって意見交換の場を設け、「迷惑なペット」とは何かについて合意できるまで、管理組合員で話し合いをしてもらうのです。飼育者と反対者とで討議をつくすことが求められますので、次善の策とはいえ時間はかかります。また、最終的な合意事項は、総会において決議しておく必要があります。

なお当然のことですが、盲導犬や聴導犬などはペットではありません。どんなペット禁止規定を作ろうと、これらの飼育を禁止することは誰もできません。

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