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管理規約

第28回:専有部分を含めた給水管更新工事の資金に維持修繕の取り崩し、かつ資金借り入れは可能か?

第28回:専有部分を含めた給水管更新工事の資金に維持修繕の取り崩し、かつ資金借り入れは可能か?

築35年のマンションです。昨年8月、屋上の給水管露出部分から漏水事故が発生しました。
応急処置した業者は「今後、いつどこから漏水事故が起きても不思議ではない」との説明がありました。管理組合としては専有部分含めた給水管の一体化更新工事が急務と考えていますが、区分所有者の一部から「年金生活なので一時金徴収などの自己負担は困る。自己負担しなくて済むなら更新工事の事業案に賛成する」との強い要望が出されました。
専有部分含めた給水管更新工事の資金として修繕積立金を取り崩しできるようにし、かつ金融機関からも融資を認めてもらえるようにしたい。
管理組合として管理規約改正も含め、どのように対応したらよいでしょうか?


[一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答]

専有部分の管理は本来、区分所有者の費用と負担で行うことが原則ですので、管理組合が構造上一体となった専有部分の給水管を共用部分と一体管理するには、管理規約の整備・改正が必要となります。

1.専有部分の給水管の更新工事を管理組合の費用で行う場合について
給水管の横管(専有部分)の更新工事費用は、管理規約の改正により共用部分と一体として管理組合の責任と負担において行うことができます。
管理規約の改正内容
①「専有部分である設備のうち共用部分と構造上一体となった部分の管理を共用部分の管理と一体として行う必要があるときは、管理組合がその責任と負担においてこれを行うことができる。」
②「共用部分と構造上一体となった横管(専有部分)の給水管の更新工事の費用を修繕積立金等から取り崩しができる」
③「その工事は管理組合の業務である」

2.金融機関(住宅金融支援機構)からの融資について
総会決議内容の議事録(特別決議①、②   普通決議③)
① 共用部分と構造上一体となった横管(専有部分)の給水管の更新工事の実施。
② 管理規約の改正内容①~④。
③ 金融機関(住宅金融支援機構)からの融資を受ける事。

金融機関(住宅金融支援機構)からの融資は原則、マンション共用部分の工事についての融資となっていますが、上記議事録の写し及び管理規約の写し等(申請書一式)の提出、及び修繕積立金等から取り崩しできる根拠を説明することで金融機関(住宅金融支援機構)から融資を受けられた事例があります。
詳しくは金融機関の窓口にご相談下さい。
以 上

付記事項
標準管理規約第7条(専有部分の範囲)、 7条コメント②、⑤
第21条(敷地及び共用部分等の管理)2項、 21条コメント④、⑤
第28条(修繕積立金)、第32条(業務)、
第48条(議決事項)第1項九号

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