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第33回:携帯用アンテナ設置の税申告及び空き駐車場への対応(外部貸し)について

第33回:携帯用アンテナ設置の税申告及び空き駐車場への対応(外部貸し)について

築15年で60戸のマンションです。屋上に携帯用アンテナ設置、駐車場は平置きと機械式の併用駐車場で50台駐車可という現況です。以下の2点について教えていただきたい。

【質問①】
マンション屋上に携帯電話会社のアンテナを5年以上前から設置している。最近になって税務署から「管理組合の収益事業にあたるので税申告しなさい」と言われた。
アンテナ設置が収益事業にあたり、納税する必要があることを税務署から言われるまで全く知らなかった。しかも5年前から1度も督促もしていないのに、5年遡って延滞料もとると言われた。延滞料まで支払うのはとても納得いかない。

【質問②】
最近、大型車に買い替えや、高齢化による車離れで空き駐車場が増える傾向にある。
このままでは、機械式駐車場のメンテナンス等に支障きたすことになるので、一部外部貸しが可能か検討している。仮に一部外部貸しするとして、これは収益事業(課税対象)にあたるのでしょうか?又、それに伴う問題点があれば教えて頂きたい。


【一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答】

【回答①】
・携帯電話基地局の設置のための建物賃貸借契約を締結して得た設置料収入、集会室貸出料、太陽光発電の売電、広告看板・自動販売機設置料収入など、事業場を設けて継続して行われる事業は収益事業とされ、課税対象となります。「マンション屋上に携帯電話会社のアンテナ設置」は事業収益に該当するため、管理組合が法人、非法人に拘わらず納税義務が発生します。
・延滞料に関して納得がいかない部分に関してですが税理士に相談するか、
もしくは「延滞料の分まで徴収するのは不服であること」の下記内容を書面に作成して税務署長宛に提出し、税務署としての見解を質したらいかがでしょう。
①税務署の担当者から指摘されるまで「マンション屋上に携帯電話会社のアンテナ設置」が課税対象であったこと自体、全く知らなかったこと。
②収益事業と知っていれば「税申告」を間違いなくしていたこと。
③「5年遡って延滞料もとる」と税務署の担当者から口頭で言われた。しかし、5年前から1度も督促されていない。督促されていないのに延滞料まで支払うのは納得いかないこと等

【回答②】
・管理組合が区分所有者に対して共用部分を駐車場として専用使用権を与え受け取る駐車場代金は非課税とされています。 これに対して、組合員以外の第三者に貸駐車場として代金を受け取る場合は、収益事業として認定される場合があります。
収益事業として認定されるかどうかは、国税庁が国土交通省からの照会に回答した「取引等に係る税務上の取扱い等に関する照会(同業者団体等用)」( 平成24年2月14日付)があります。(一部外部貸しの場合は3パターンが考えられ、課税対象に該当するパターンの場合は、法人税・消費税・住民税を支払わなければならない)
・管理組合が収益事業を行う場合、近隣マンション等のニーズの有無を調査し、実際利益を出せるのかの検討が必要です。
・駐車場全体を外部委託(タイムズ24や三井のリパーク等)して、組合は月極の賃料を受取るといった方法もありますが、サブリースする場合のメリット・デメリットを知っておく必要があります。
メリット:料金は概ね月額使用料の40%で収入源が確保できること。
デメリット:第三者に貸出し区画分だけ不特定多数者が出入りする為、使用方法やセキュリティ面でトラブルが発生し易いこと。

以 上


【NPO埼管ネットの回答】
質問②「駐車場外部貸し」について
昨今では、景気環境の陰り等で若者の車離れ、高齢化の伸展等により、空き区画が増加し、管理組合会計が赤字になるリスクが増大し、駐車場の空き区画を埋める苦肉の策として、組合員以外の第三者に外部貸しすることで、空き区画を減らし、駐車場収入の回復を図ろうと苦慮している組合も少なくないと思われます。しかし、管理組合が駐車場を組合員以外の第三者に貸出すと、法人税等の税金を納める必要がある場合がありますので、駐車場の外部貸しの検討にあたっては、充分注意が必要です。
本来管理組合は、営利目的の団体ではないので、基本的に法人税、消費税等、事業税及び地方法人特別税の税金を納める必要はありませんが、法人税法上、管理組合は人格のない社団等に、管理組合法人はみなし公益法人等に該当しますので、収益事業に該当する事業を営んでこれにより課税所得が発生する場合には、法人税、事業税及び地方法人特別税(一定の要件に該当する場合には消費税等も)を納税する義務が生じるのです。
国税庁は、平成24年2月付けで、「マンション管理組合が区分所有者以外の者への駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」収益事業に該当する場合と収益事業に該当しない場合の例示を以下のようにHP上で行いました。(参考迄に!)

経緯 募集方法 使用条件 判定
【A】 相当数の空きがあり、M内に駐車場利用希望者がおらず、このまま放置すると、収入不足が顕著になり、駐車場の外部貸しを行うに至った。 使用開始にあたり、区分所有者と外部者を分けず広く行い、申込順とする。 利用料、期間等についても同条件とする 駐車場使用の全てが収益事業に該当
【B】 上記と同じ。 外部使用にあたり、区分所有者と外部者を分けず広く募集。使用者の決定にあたっては、Mの施設であることから、優先する。 全ての区画が満車の場合、外部者には、一定の期間(3ヶ月)に明け渡しを求める場合や1年とする契約である場合には、使用期間を更新しない等の条件を付す。 外部使用のみが収益事業。
【C】 区分所有者の異動等により、空きが生じることとなったが、他の区分所有者の中に希望者がおらず、そのままとしておく予定。 積極的な募集を行わないが、近隣工事の影響で、工事期間のみ、空きPを短期使用したいとの申出があり、区分所有者の妨げにならない場合、認可。 短期間限定の使用。 収益事業に該当しない。

 


【NPO日本住宅管理組合協議会埼玉県支部の回答】

【質問①の回答】
当該マンションのアンテナ設置者の主体は誰なのか。それによって少し事情が変わる可能性はあります。
(1) 管理組合が主体者である場合は、納税義務が生じる可能性が高いと思われます。
(2) そうではなく、主体者は区分所有者であるということであれば(あまり考えられませんが)、事情は変わり管理組合に対する納税義務はないという可能性があります。ただし、そのための手続き(その事実の確認等)が必要になります。しかしこの場合、税務署によって判断が異なることもあり得ます。

例えば東京電力は公共事業として、高圧鉄塔や電柱が団地・マンション内に設置することがあり、その場合東京電力は管理組合に対して補償金を支払います。つまり管理組合は収益事業をしているわけではないので、納税義務はありません。
仮に納税している場合は、当該税務署にきちんと説明することによって、納税を解かれます。

以上

【質問②の回答】
駐車場の外部貸し出しについて国税庁は、平成24年2月付けで、「マンション管理組合が区分所有者以外の者への駐車場の使用を認めた場合の収益事業の判定について」収益事業に該当する場合と収益事業に該当しない場合を例示しました。
(1) 収益事業に該当する場合
区分所有者と外部者を分けずにひろく積極的に募集し、申し込み順に貸し出すと、すべての駐車場が収益事業と見なされます。
(2) 収益事業に該当しない場合
区分所有者と外部者を分けずにひろく積極的に募集し、区分所有者を優先して貸し出すと、外部使用者についてのみ収益事業と見なされます。
(3) 空き駐車場がある場合、外部で工事等が行われ、その期間(短期)のみ駐車場を使用したいという申し出があった時、区分所有者の妨げにならなければ収益事業と見なされません。

いくつかのパターンがありますから、収益事業化するか否かを管理組合で検討することが求められます。

以上

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