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コラム:『マンション管理適正化法及び建替え円滑化法の一部を改正する法律』に関する続編

コラム:『マンション管理適正化法及び建替え円滑化法の一部を改正する法律』に関する続編

はじめに
令和2年6月24日に公布された『マンション管理適正化法及び建替え円滑化法の一部を改正する法律』(以下、「本改正法」という)が令和4年4月1日に施行されることになりました。
昨年のこの「マンション管理コラム」欄で本改正法について1.マンション管理に関する現状と課題、2.マンションの再生に関する現状と課題を述べ、3.マンション管理適正化法の改正概要 4.マンション建替円滑化法(要除却認定の対象拡充)の改正概要 5.マンション建替円滑化法(団地の敷地分割制度の創設)の改正概要を述べました。
今年は続編としてこのうち3.~5.について新旧対照条文を記述しました。
なお、今回、「マンション管理適正化法」改正に伴い、長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメントが令和3年9月に改訂されましたのでその概要を述べ、同じくマンションの修繕積立金に関するガイドラインの見直しがあり、その概要を記述致します。

1.マンション管理適正化法の改正概要 ~続編~
①基本方針・マンション管理適正化指針関係
【改正前】
(マンション管理適正化指針)
第三条 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るため、管理組合によるマンションの管理の適正化に関する指針(以下「マンション管理適正化指針」という。)を定め、これを公表するものとする。

(新設)
【改正後】
(基本方針)
第三条 国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(以下「基本方針」という。)を定めなければならない。
2 基本方針においては、次に掲げる事項を定めるものとする。
一 マンションの管理の適正化の推進に関する基本的な事項
二 マンションの管理の適正化に関する目標の設定に関する事項
三 管理組合によるマンションの管理の適正化に関する基本的な指針(以下「マンション管理適正化指針」という。)に関する事項
四 マンションがその建設後相当の期間が経過した場合その他の場合において当該マンションの建替えその他の措置が必要なときにおけるマンションの建替えその他の措置に向けたマンションの区分所有者等の合意形成の促進に関する事項(前号に掲げる事項を除く。)
五 マンションの管理の適正化に関する啓発及び知識の普及に関する基本的な事項
六 次条第一項に規定するマンション管理適正化推進計画の策定に関する基本的な事項その他マンションの管理の適正化の推進に関する重要事項
3・4 (略)

②助言、指導等関係
【改正前】
(管理組合等の努力)
第四条 管理組合は、マンション管理適正化指針の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう努めなければならない。
2 (略)

(新設)
【改正後】
(管理組合等の努力)
第五条 管理組合は、マンション管理適正化指針(管理組合がマンション管理適正化推進計画が作成されている都道府県等の区域内にある場合にあっては、マンション管理適正化指針及び都道府県等マンション管理適正化指針。次条において同じ。)の定めるところに留意して、マンションを適正に管理するよう自ら努めるとともに、国及び地方公共団体が講ずるマンションの管理の適正化の推進に関する施策に協力するよう努めなければならない。

2 (略)
(助言、指導等)
第五条の二 都道府県等は、マンション管理適正化指針に即し、管理組合の管理者等(管理者等が置かれていないときは、当該管理組合を構成するマンションの区分所有者等。次項において同じ。)に対し、マンションの管理の適正化を図るために必要な助言及び指導をすることができる。
2 都道府県知事(市又は第百四条の二第一項の規定により同項に規定するマンション管理適正化推進行政事務を処理する町村の区域内にあっては、それぞれの長。以下「都道府県知事等」という。)は、管理組合の運営がマンション管理適正化指針に照らして著しく不適切であることを把握したときは、当該管理組合の管理者等に対し、マンション管理適正化指針に即したマンションの管理を行うよう勧告することができる。

③管理計画認定関係
【改正前】

(新設)
【改正後】
(管理計画の認定)
第五条の三 管理組合の管理者等は、国土交通省令で定めるところにより、当該管理組合によるマンションの管理に関する計画(以下「管理計画」という。)を作成し、マンション管理適正化推進計画を作成した都道府県等の長(以下「計画作成都道府県知事等」という。)の認定を申請することができる。

2 管理計画には、次に掲げる事項を記載しなければならない。
一 当該マンションの修繕その他の管理の方法
二 当該マンションの修繕その他の管理に係る資金計画
三 当該マンションの管理組合の運営状況
四 その他国土交通省令で定める事項

(認定基準)
第五条の四 計画作成都道府県知事等は、前条第一項の認定の申請があった場合において、当該申請に係る管理計画が次に掲げる基準に適合すると認めるときは、その認定をすることができる。
一 マンションの修繕その他の管理の方法が国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
二 資金計画がマンションの修繕その他の管理を確実に遂行するため適切なものであること。
三 管理組合の運営状況が国土交通省令で定める基準に適合するものであること。
四 その他マンション管理適正化指針及び都道府県等マンション管理適正化指針に照らして適切なものであること。

2.マンション建替円滑化法(除却の必要性に係る認定関係)改正条文
(除却の必要性に係る認定)
第百二条 マンションの管理者等(中略)は、国土交通省令で定めるところにより、建築基準法(中略)に規定する特定行政庁(中略)に対し、当該マンションを除却する必要がある旨の認定を申請することができる。
2 特定行政庁は、前項の規定による申請があった場合において、当該申請に係るマンションが次の各号のいずれかに該当するときは、その旨の認定をするものとする。
一 当該申請に係るマンションが地震に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していないと認められるとき。(Is値=0.6未満のもの)

以下【新設】条文
二 当該申請に係るマンションが火災に対する安全性に係る建築基準法又はこれに基づく命令若しくは条例の規定に準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していないと認められるとき。
三 当該申請に係るマンションが外壁、外装材その他これらに類する建物の部分(中略)が剥離し、落下することにより周辺に危害を生ずるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当すると認められるとき。
四 当該申請に係るマンションが給水、排水その他の配管設備(その改修に関する工事を行うことが著しく困難なものとして国土交通省令で定めるものに限る。)の損傷、腐食その他の劣化により著しく衛生上有害となるおそれがあるものとして国土交通大臣が定める基準に該当すると認められるとき。
五 当該申請に係るマンションが高齢者、障害者等の移動等の円滑化の促進に関する法律(平成十八年法律第九十一号)第十四条第五項に規定する建築物移動等円滑化基準に準ずるものとして国土交通大臣が定める基準に適合していないと認められるとき。
3  (略)
特定要除却認定 第102条2項1号~3号 マンション敷地売却事業 団地敷地分割事業
要除却認定 第102条2項1号~5号 容積率特例の対象

3.「長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメント」及び 「マンションの修繕積立金に関するガイドライン」の見直しについて

◎ 改定の概要
(1)長期修繕計画標準様式、長期修繕計画作成ガイドライン・同コメントの主な見直し内容
①望ましい長期修繕の計画期間として、現行のガイドラインでは25年以上としていた既存マンションの長期修繕計画期間を、新築マンションと同様、大規模修繕工事2回を含む30年以上とする。
②大規模修繕工事の修繕周期の目安について、工事事例を踏まえ一定の幅を許容する記載可。
※現行のガイドラインの参考例:外壁塗装の塗替え:12年→12~15年、空調・換気設               備の取替:15年→13~17年など
③社会的な要請を踏まえて、修繕工事を行うにあたっての有効性などを追記。
・マンションの省エネ性能を向上させる改修工事(壁・屋上の外断熱改修工事や窓の断熱改修工事等の有効性
・エレベーターの点検にあたり国交省H28年2月策定「昇降機の適切な維持管理に関する指針」に沿って定期的に点検を行うことの重要性

(2)マンションの修繕積立金に関するガイドラインの見直し内容
①修繕積立金額の目安の見直し
適切な長期修繕計画に基づく修繕積立金の事例を踏まえ、目安とする修繕積立金の㎡単価を更新
②修繕積立金の目安に係る計算式の見直し
ガイドラインのターゲットとして、既存マンションも対象に追加し、修繕積立金額の目安に係る計算式を見直し
※既存マンションの長期修繕計画の見直し等に用いられることを想定し、すでに積み立てられた修繕積立金の残高をもとに修繕積立金の目安額を算出する計算式に変更
以上

【参考文献】 以下の情報を引用しました。
①マンションの管理の適正化の推進に関する法律及びマンションの建替え等の円滑化に関す   る法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)
その他関連する国土交通省報道発表資料
国土交通省住宅局参事官(マンション・賃貸住宅担当)

<NPO法人 埼玉マンション管理支援センター>

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