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コラム:管理適正化法改正要点

コラム:管理適正化法改正要点

(1) 「マンションの管理の適正化の推進に関する法律(以下、「マンション管理適正化法」という。)及びマンションの建替え等の円滑化に関する法律の一部を改正する法律(令和2年法律第62号)」が令和2年6月24日に公布され、令和4年4月に施行される見通しです。
この法改正の背景には、滋賀県野洲市の廃墟マンションの問題があると言われています。当該マンションは、築47年、鉄骨3階建て9部屋、約10年前から居住者はおらず外壁が崩れ、がれきが散乱して放置されている状態でした。
近隣住民は、野洲市に当該建物を取り壊して欲しいという要望を出していましたが、市側は、私有の建物であり、建物には区分所有者がいるので、行政は取り壊しに関して関与は出来ないとしていました。しかし、外壁が崩れ、アスベスト建材が露出し、近隣住民に健康被害を及ぼす危険な状態でした。

(2) 建物を調査したところ、吹き付けられた素材から、国の基準値(0.1%)を大きく上回る28.4%のアスベストが検出されました。更に、アスベストの中で発がん性が高いと言われている「クロシドライト」という物質が検出されました。
建物を解体するにも、区分所有者間の協議や費用の問題から取り壊しに数年かかってしまい、合意形成を図るのは難しく、このまま放置すると、アスベストが飛散し続け、近隣住民に肺ガンや中皮腫などの健康被害が出る恐れもありました。そのため、市民の生命、身体を守るという立場の行政側の責任の不作為と言う問題が起こり、結果、行政代執行での取り壊しとなりました。
その費用は、1人1,300万円余りです。市は区分所有者に請求しましたが、全額回収の見込みは立っていません。回収できなかった分は、建築基準法に基づく勧告を放置していた滋賀県にも費用負担する責任があるとして請求することになりました。結局、区分所有者に代位して県が税金を拠出して支払うことになったのです。

(3) ここで、問題になるのは、取り壊し費用を床面積の専有部分の持ち分割合(区分所有法第14条)に応じて既に支払った人と、金銭的な余裕はないとしてその費用を支払わなかった人がいたため、全員に対して回収できないとなると、不公平感は否めません。そして、県行政の責任も問われかねません。

(4) 廃墟マンションに対する行政の対応として「建築基準法に基づく勧告」制度があります。特定行政庁が、建物の所有者に対し、定期的に建物や設備等の状況を一級建築士等の有資格者に調査・検査させて、その結果を報告するように定めた定期報告制度(建築基準法第12条)です。特定行政庁は、その報告により、危険な建物であることが判明した場合、改善を求めますが、改善されない場合には、勧告等をすることになります。
廃墟予備軍マンションは各地に着実に増えています。このまま放っておくと、本事例のようなケースがあちこちで起こり、行政の税金拠出負担も増えるばかりです。これを未然に防止する対策としてマンション管理適正化法を改正し「管理計画認定制度」が創設されたといわれています。

(5) 国による基本方針
国土交通大臣は、マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針を策定しました。
基本方針では、管理組合がマンションを適正に管理するとともに、行政がマンションの管理状況等を踏まえて、管理適正化の推進のための施策を講じることが必要であることが記載されています。

(6) 地方公共団体によるマンション管理適正化の推進
① マンション管理適正化推進計画の策定(任意)
② 必要に応じて管理組合に対する指導・助言の実施
③ 各マンション管理組合が策定した管理計画の認定

(7) 管理組合の行政側の「認定基準」は次のように五項目が国から示されています。
管理組合が留意すべき事項として
① 管理組合の運営
② 管理規約
③ 管理組合の経理
④ 長期修繕計画の作成及び見直し等
⑤ 組合員名簿の備え等

(8) 除却の必要性に関する認定対象
① 現行の耐震性不足に加えて、外壁の剥落等の危険があるマンション、バリアフリー性能が確保されていないマンションを対象
② 団地における敷地分割制度の創設
要除却認定を受けた団地において、敷地共有者の4/5以上の同意によりマンション敷地の分割を可能とする制度を創設したことが主な改正ポイントです。

(9) 任意の管理適正化推進計画
マンション管理適正化推進計画は、マンション管理適正化法において「策定することができる」と規定されています。つまり、計画の策定は義務ではないため、計画を策定するか否かは、地方公共団体の裁量によることになります。
また、推進計画の中で地方公共団体は独自の「マンション管理の適正化に関する指針」を定めることができます。地方公共団体が設けた認定基準等に適合した管理組合は、地方公共団体から「認定」を受けることができます。

(10) 時代の推移
時代とともに、家族を構成する人々のライフスタイルの変化もあり、居住空間の間取りの志向も変化しています。
また、新型コロナウイルス感染症の影響で、職場への通勤から、自宅におけるリモートでの就業による企業もあり、都会から地方への移住と言う現象も顕著に表れています。
このような環境の中で、マンション専有部分の空室や賃貸率が増加しており、区分所有者が管理組合運営に対して無関心のままではいられない時代となっています。

(11) 区分所有者として、共用部分の維持管理の保持にも責任を持たなくてはなりません(区分所有法第3条)。今回の法改正を受けて、無関心ではいられない時代が到来しました。
分譲マンションの管理組合等にとっては、良質なコミュニティのもと、管理組合等の維持管理をすることが、地方公共団体が設ける「管理計画認定基準」に適合するために必要となります。また、そのことがマンション全体及び各戸の資産価値の向上にも繋がる事になるでしょう。
以上

NPO法人 埼管ネット

参考:国土交通省HP関連 https://www.mlit.go.jp/jutakukentiku/house/content/001350444.pdf

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