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第33回:マンションで発生するさまざまなリスクを知って、備えよう!~ご存知ですか?マンションに暮らす”リスク”と”保険”の大切さ~

第33回:マンションで発生するさまざまなリスクを知って、備えよう!~ご存知ですか?マンションに暮らす”リスク”と”保険”の大切さ~

昨今、耐震偽装が忘れ去られようとしていた矢先に、大手不動産会社が都心で販売した億ションが入居直前になって、構造上の欠陥が内部告発により発覚し全戸解約となり、また横浜の団地では杭の施工偽装で1棟が傾き、全棟建替えとなるなどマンション購入のリスクがマスコミで取り上げられると共に、マンションにおける居住者と建物の“2つの老い”のリスクを基調とする「2020年問題」や「2025年問題」がクローズアップされています。

マンションには、このように購入時に始まり、地震・水害等の自然災害はもとより管理会社の社員や管理組合の理事長等による管理費・修繕積立金の横領や“2つの老い”に伴うリスク等の人為的災害(人災)のリスクに晒されていますが、今回は人災であるマンションに暮らす”リスク”とその対応の一つである“保険”について、体験を基に考えてみたい。

先ず火災ですが、32年住む私の団地で3回経験していますが、1回目は19年前のこと独居高齢者のお宅の仏壇のろうそくの火の不始末から出火・玄関扉を消防隊員が壊して救出、2回目は17年前の年末年始で家族でスキーに出かけての留守中に長年ベットの脚が踏みつけていた電気コードから出火、そして3回目は4年前のことですが家族で初期消火に努めたが消火できず、消防車の出動を要請、出火原因は電子レンジのコンセントの漏電、所謂トラッキング現象と推定されています。 このトラッキング現象による火災は、当時は軽過失と見なされていましたが、その後この現象による火災が多発し多数の死傷者が出たために、防止のための注意喚起(コンセント周りの清掃等)が所轄の官庁等からなされ、トラッキング防止用のカバー付コンセント等も販売されており、今では重過失と見なされる可能性がありますので、注意が必要です。
これらの火災体験から、マンションの火災による類焼被害や消火活動による水損被害について、下記の誤解がマンション住民にあることが判明しました。
①「出火元が弁償してくれるから安心」
→失火責任法により、失火者に賠償責任を負わせるのは難しく、失火者に重過失
があった場合でも賠償能力があるとは限らないこと。
②「管理組合で、“保険”に入っているから安心」
→管理組合加入の火災保険は共用部分のみが補償対象であること。
③「住宅ローンを組む時に、“火災保険”に加入しているから安心」
→「建物」のみの契約では、「家財」は補償されません。
また、住宅ローンの返済も終わり、火災保険の契約期間が過ぎていないか要注意です。

なお、火災にはなりませんでしたが、3年前に、ガス漏れのトラブルが発生しています。高齢者の独り住まいのお宅でのこと、明け方、ガス漏れ警報のベルの音で気づいた隣家の機転で危うくガス爆発や死傷者を出さずに済みましたが、・・・夕食の一人鍋で飲食した後、部屋のガスの元栓を閉め忘れたため、ガスコンロとを繋ぐ老朽化したゴムホースからの僅かなガス漏れが一晩で部屋に充満し、警報機が鳴ったが、高齢で匂いも警報ベルにも気付かなかったとのことです。

次に、共用部分の排水立管から住居内へ雑排水が逆流して全室に浸水した事故が9年前にありましたが、3年後の時効直前になり、被害者の加入する保険会社が求償権を得て、管理組合を訴えた訴訟を経験しましたが、それ以前にも入居後間もなくのことですが売主が管理組合を訴えた訴訟及び駐車場の使用規則改正をめぐり住民の弁護士等が管理組合を訴えた訴訟があり、これまでに計3回の訴訟を経験しましたが、民事裁判は真実を追求するということよりも、いかにして妥協点を見出すかにあることを痛感すると共に、損害保険への加入の大切さをも実感しています。

最後に、管理組合の“リスク”への対応策として次の点を強調しておきたいと思います。
1.管理規約・細則及び管理委託契約等の各種契約の適正化
2.適正な損害保険への加入(金銭的な備えが大切)
3.建物・設備・施設の適切な点検(日常・定期・法定点検等)と的確な改修の実施

NPO法人埼玉マンション管理支援センター 副理事長 金子吉人

 

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