マンション管理コラムColumn

管理組合運営

第34回:マンションにおけるコミュニティ形成促進の方法について

第34回:マンションにおけるコミュニティ形成促進の方法について

管理組合の理事です。
「地域コミュニティに配慮した居住者間のコミュニティ形成~」というあいまいな表現が拡大解釈され、管理費の使途についてトラブルが生じているとの見解の下、国交省は標準管理規約(H28年3月)を改正してコミュニティ条項を削除したのでは?と思っています。
しかしながら、高齢の1人暮らしの居住者が増える中、今まで以上にコミュニティ形成が重要と考えます。管理組合としてコミュニティ形成促進の方法があれば教えて頂きたい。


【一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答】

1.管理組合のコミュニティ活動の有効範囲
国交省はコミュニティ条項を削除しましたが、標準管理規約第27条関係コメント②で引き続き管理組合のコミュニティ活動として以下の内容を認めています。(一部抜粋)
「~例えば、マンションやその周辺における美化や清掃、景観形成、防災・防犯活動、生活ルールの調整等で、その経費に見合ったマンションの資産価値の向上がもたらされる活動は、それが区分所有法第3条に定める管理組合の目的である「建物並びにその敷地及び附属施設の管理」の範囲内で行われる限りにおいて可能である」

2.コミュニティ形成のメリット
■防災減災  ■防犯  ■子育て  ■シェア  ■高齢者の見守り等

3.管理組合としてのコミュニティ形成の具体的な取り組み内容
・防災訓練
管理組合の業務として、又、消防法上としても重要です。
・居住者リスト作成(同居家族及び要介護者の掌握等 共助の一環として)
同居家族を載せるのは防犯、防災上から当然のことであり、児童や高齢者の虐待情報の収集にもつながると考えます。本来は自治会の業務ですが、管理組合に自主防災組織が編成されているならば管理組合は自治会と協力して情報の共有を図るべきと考えます。
※ 尚、居住者リストは現に居住している方が対象なので、占有者及びその同居家族も含める。又、単身高齢居住者の場合は緊急連絡先として近親者名の記入も必須です。
・生活支援サービスの提供
(1,000戸超 の某T団地管理組合の取り組み事例)
支援スタッフ(50名超)を登録し、サービス毎の料金を設定して以下のような団地住民(特に高齢者)支援に取り組んでいる事例です。
内 容:庭の除草や剪定、粗大ごみ出しや運搬、室内の整理整頓、宅内小修繕、買物支援等

4.その他
・管理組会と自治会の共催による納涼祭、定例クリスマス会(参加費を徴収する)の開催。
・管理会社と管理組合の契約締結により、高齢者生活支援、見守り専有部サービス等。

以 上


【NPO埼管ネットの回答】

コミュニティ条項は2004(平成16)年の標準管理規約改正により追加されたものであり、現在は多くのマンションが、それに準拠した管理規約を運用しており、大半のマンションがそれに基づいてコミュニティ活動に取り組んでいます。この中の標準管理規約第27条第十号の「地域コミュニティにも配慮した居住者間のコミュニティ形成に要する経費に充当する。」の項目が削除されました。
これは、自治会費等を管理費と一体で徴収し、自治会費を払っている事例があり、自治会的な活動への管理費の支出をめぐる訴訟も起こされ、国土交通省は適切ではないとして、第32条第十二号を「マンション及び周辺の風紀、秩序及び安全の維持、防災並びに居住環境の維持及び向上に関する業務」と改めることとしたのです。

自治会費又は町内会費等は、地域住民相互の親睦や福祉、助け合い等を図るために居住者が任意に負担するものであり、マンションを維持・管理していくための費用である管理費等とは別のものである。(最高裁平17.4.26)

ア 自治会又は町内会等への加入を強制するものとならないようにすること。
イ 自治会又は町内会等への加入を希望しない者から自治会費又は町内会費等の徴収を行わないこと

が国交省の指針です。

高経年化、高齢化して一人暮らしの居住者が増える中、介護福祉面で今後ますます地域との連携が必要になると思われる時期に、コミュニケーション条項を削除するのは、二律背反しているのではないかという質問かと理解します。

個人情報保護法も改正され、マンション居住者名簿も管理会社、理事長、に守秘義務があります。大きな所帯数の管理組合としては、実際どの部屋に独居老人が住んでいるか分からないのが実情です。

そこで、居住者のコミュニティ形成を諮っていく場としては、現住区分所有者、賃借人問わず、入居者全員を対象にして管理組合組織の中に、「コミュニティ委員会」を設置したらどうでしょうか、この中で趣味が同じ人が集まって、サークル的活動を行ったり、集会室があるならこの場所を借りて、「高齢者一人暮らしお茶飲み会」を設け、エントランスの掲示板に開催日時を広報し、活動の中で「地域民生委員」の方を招いて、日常生活の不安や悩み事等、相談相手になって貰ったらどうでしょうか。


【NPO日本住宅管理組合協議会埼玉県支部の回答】

設問を3つに分けて考えてみましょう。

1つ目は「マンション標準管理規約」の位置づけについてです。
「マンション標準管理規約」は “参考”であり、そのまま使わなければならないという性質のものではありません。
大切なのは、管理組合がどのようなマンションにしたいのかという理念、ビジョンといった目指すべきマンション像をみんなで考えた上で、それを土台にして管理規約を考えることが望ましいのです。
しかし実態として、マンション標準管理規約は“参考”であるにも関わらず、必ず取り入れなければないと感じている管理組合は多く、法律のように“強制”に近いものと受け止めているようです。
自分たちの性質や性格に合った管理規約にしたいと思う内容が、たまたま標準管理規約にあれば、取り入れればよいのです。

2つ目は、コミュニティとは何かです。
人が複数集まればコミュニティが形成されるのは極めて自然なことです。しかも一人の人が、さまざまなコミュニティに参加しているのが普通です。職場のコミュニティ、職場のゴルフコミュニティ、マンションに住んでいれば理事会のコミュニティ、委員会のコミュニティや自治会のコミュニティ、防災のコミュニティ、ボランティアのコミュニティ、絵画グループのコミュニティ等など…。わざわざコミュニティと言わなくても、そうなっているはずです。
マンションにおけるコミュニティで重要なのは、居住者間のとても密着感ある人々の、そのマンション特有の共有すべき仲間意識をどのように創り上げるか。生活の基盤としてのマンションにおいては、相互の理解や協力があってこそ楽しく快適で、また大規模修繕工事などの事業もうまくいきます。
災害が多くなっている現在、コミュニティの質は災害時の共助の質にも影響をもたらすことは、いくつかの事例で明らかになっています。

会議もコミュニティ
また、コミュニティというとお祭りだとかのイベントだけを考えがちですが、理事会もコミュニティですし、総会も同じです。これらの会議では、時に熱い議論になることもあるでしょうが、それもコミュニティです。しかも、そのような議論があってこそそれぞれの考え方がわかり、理解し合えたりするのです。それこそがコミュニティの顕著な成果のひとつと言えます。

コミュニティを矮小化していないか
夏祭りなどのイベントだけがコミュニティだと矮小化するのは、コミュニティの重要性を考えておらず、その一面を必要以上に問題として捉えおり、それこそが問題ではないかと感じます。先述のとおり、会議等もコミュニティであリ、コミュニティの本質を欠落したまま、一括して「コミュニティはだめ」という人たちに対して、そもそもコミュニティについての議論の前提を学んでいただきたいと強く感じます。

コミュニティのカタチ
コミュニティには組織的な形があるものと、そうでないものがあり、多種多様です。その目的もさまざまです。それは先述したいろいろなコミュニティによって異なります。目的と言っても、多くの場合、明文化しているわけでもありません。暗黙にコミュニティが形成され、それがそこに集まる人が理解していくのです。
目的がはっきりしているコミュニティといえば、管理組合、自治会と言ったものですが、ここから派生するコミュニティは、たくさんあります。
マンション内での、人と人のふれあいの場がコミュニティであと考えることが大切ではないかと思います。

高齢者を対象にしたカフェや給食の提供などを定期的に集会室にオープンして、互いに世間話ができるようにしていたり、高齢者のお部屋の清掃などを「お助け隊」が低料金で行なっている管理組合もあります。

災害が発生した時、被災者は多くの場合共助(助け合い)を自然に行います。これは今までのコミュニティの発展形であったり、存在していなかったコミュニティが異常事態の中で生まれることも明らかになっています。

3つ目は、「管理組合は財産管理(建物・設備等の維持・保全)の団体なのでコミュニティは不要である」という考え方についてです。
先述のとおり、コミュニティはどのようなカタチでも存在します。標準管理規約からコミュニティ条項を削除した人たちは、コミュニティを非常に狭く考え、飲み会などを指しているのだと思われますが、それが財産管理とつながらないという考え方がわかりません。これを言えるのは当該マンションの関係者が執行部に問題提起をすることはできますが、部外者がそれをいうことはいかがなものでしょうか。しかも参考とは言え、国交省が作成している標準管理規約のコミュニティ条項を削除するという横暴は許されません。

財産管理を行うには、建物・設備等の状況を常に把握する。長期修繕計画を見直す。修繕積立金が十分であるか。理事会はしっかりと開催され、必要な議論が行われているか。そのような管理組合の業務の遂行で理事や区分所有者が集い、語ることこそがコミュニティです。それを飲み会の金は無駄金であると言えるのは(そのお金が不当に使い過ぎであれば別ですが)、当該管理組合の区分所有者のみです。
祭りも趣味の会も、マンションという住宅に住む人々にとって不可欠な生活の一部であり、それは財産管理にも生きているのです。
財産管理団体としての管理組合に集う区分所有者が、その権利と義務を駆使してその目的を達成しようとする時、人々がさまざまな話し合いを行っていくわけです。その時、飲み会も含めたコミュニティがあるからこそ、それらが成り立つわけです。もちろん、目的が大幅にずれた飲み会を擁護するものではありません。

管理組合の運営は、民主的かつ透明な手続きが基本あり、それによって区分所有者の合意形成が図れます。標準管理規約のコミュニティ条項を削除した委員たちは、その基本をないがしろにして非民主的で不透明な運営をし、求めているのではないかと感じます。

管理組合は、自分たちのマンションを一体どのようにしたいのか、そこをしっかりと話し合うことが重要であり、それができるのならばコミュニティが醸成されているのだと言えます。

国交省は標準管理規約からコミュニティ条項の削除に伴い、「マンション管理適正化指針」にコミュニティの大切さを謳った文書を入れ、バランスを保ちました。

<参考>
以下、「マンションの管理の適正化に関する指針(改正)」の当該箇所を示します。

また、マンションにおけるコミュニティ形成は、日常的なトラブルの防止や防災減災、防犯などの観点から重要なものであり、管理組合においても、建物の区分所有等に関する法律(昭和三十七年法律第六十九号)に則り、良好なコミュニティの形成に積極的に取り組むことが望ましい。

以上

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