マンション管理コラムColumn

管理組合運営

第37回:居住者の高齢化と役員のなり手不足にどう対応すべきか?

第37回:居住者の高齢化と役員のなり手不足にどう対応すべきか?

マンションの居住者の永住化志向の増加と、高齢化が進む中で、管理組合の役員のなり手不足も大きな問題となっており、管理組合のスムースな運営にも支障をきたしております。管理組合活動の適正化とこの役員のなり手不足についてどの様な対策を講じたらよろしいでしょうか?

回答団体
【NPO埼玉マンション管理センター】
【一般社団法人埼玉県マンション管理士会】
【NPO匠リニューアル技術支援協会】

【NPO埼玉マンション管理センターの回答】
まず、「役員のなり手不足について考えられる要因」を検討して見たいと思います。
管理組合の役員は、組合員の代表として、その財産を適切に管理・運営することが使命です。
しかし、組合員の家族構成・年齢構成・高齢は・孤独化、資産状況、健康状態等の物理的な要因や、共同生活に対する考え方が相違等の心理的要因で「役員のなり手不足」がマンションの大きな問題の1つとなってきております。
例えば

Ⅰ『役員のなり手不足』の要因
1:高齢化・病気などの身体的要因
①:高齢者世帯で、夫婦共に理事就任が出来ない。(適当な代理人がいない。)
②:高齢化により体力・気力が減退している。(適当な代理人がいない。)
③:組合員の健康上の理由(長期入院者や身体障害)による。(適当な代理人がいない。)
④:介護保険適用者など。

2:時間的な要因
①:親族の介護で、就任できない。
②:父子世帯・母子世帯(子供が中学生以下)で、理事就任の時間的余裕がない。
③:共働き
組合員が単身赴任・遠隔地通勤で、配偶者及び一親等の親族が子育て・健康上の理由などで代理人として
就任できない。
3:運営上の要因
①:理事の職分で業務の加重が異なる。(理事長、会計担当理事は業務・負担が多く偏っている。)
②:(少額)経費が発生しても請求しにくい。
③:役員を強力に辞退する人がいるので、不公平感がある。
④:役員免除の条件が明確でない。
⑤:輪番制のため立候補ができない。
⑥:輪番制の運営条件が明確でない。
⑦:複雑な問題は先送りして、解決しない。

4:業務の内容の要因
①:理事長の業務が複雑で多忙である。
②:役員の任期が1年なので活動が不連続で継続性がない。

5:組合運営に無関心の要因
①:組合員全員で自分達の財産を管理するという意識が少ない。
②:管理会社に任せておけば良いという安易な考え。
③:マンション内の煩わしい問題に関わりたくない。

この他いろいろな要因が考えられますが、組合員が管理組合を構成して自分たちの財産を管理・運営して行かなければならないので、幅広く意見を聞き慎重に議論して、多数決で決めて運営して行かなければなりまません。

こうした「役員のなり手不足」に対して、役員の職務を分析して、業務負担を分散して、組織として活動しやすくするための方法として、次のことなどが考えられます。

Ⅱ『役員のなり手不足』の対策
1:管理組合の活動の継続性・効率性のために役員の任期を2年とし、半数交代制にして管理組合の運営業務に継続性を持たせる。
また、適任者の確保や継続案件の処理のため「再任も可能」にしておくことも重要です。

2:組合員全員で抽選等により先々まで役員の就任の輪番制の順番を決めておき、総会で承認・決議して、事前に組合員全員に通知しておきます。
また、この輪番制は、総会で承認されているので役員の欠員補充も自動的に繰り上げをすることが可能となります。

3:総会で輪番制が承認されていても、輪番制の運用段階では、役員に就任できない条件が発生してきます。これらについては、運用細則などにその対応方法を決めておき、運用して行くべきでしょう。=これらについては、審議した理事会が結果を議事録に残すこと。

①:高齢化・病身で就任できない
②:老老介護
③:母子・父子家庭で指定の養育で就任できない。
④:組合員が単身赴任。
(管理規約で、配偶者及び1親等の親族などは、代理人として役員への就任は可能とすることができる。)
⑤:業務多忙で役員に就任できない。
⑥:公的事業に従事しており、夜間勤務もあり勤務が不規則で就任できない。
⑦:個人事業者で、業務多忙のため就任できない。
⑧:その他理事会が「役員就任の免除に当たると認めた場合」

4:輪番制を免除された組合員は、その免除された期間について管理組合運営協力金を支払うこと。
(免除された組合員の義務)

5:不在組合員のうち、役員・委員に就任しないものは、管理組合運営協力金を支払うこと。(自分の資産管理を居住組合員に任せており、管理組合の運営上で個別管理・対応の手続・手間が掛かる。)

6:管理組合の役員・委員は本来、区分所有者全員が担うべきであるが、高齢化・賃借化・空室化が進み不就任者も増えて来るので、役員・委員の就任者への報酬制を検討する。

7:理事長の業務の負担を副理事長に分担させて負荷を均一化する。

8:困難案件・時間のかかる問題については、委員会を設けて審議をする。

9:案件によっては、専門的知識のある有識者を活用する。

10:管理会社の知識と経験を有効活用する。

(参考文献)
マンション管理センター通信2019年4月号(役員のなり手不足の要因を考える。)

【一般社団法人埼玉県マンション管理士会の回答】

平成30年度マンション総合調査の調査項目「管理組合運営における将来への不安」という調査の結果では、「区分所有者の高齢化」を調査対象管理組合の半数が感じており、「大規模修繕工事の実施」とともに「理事の選任の困難」に将来不安だとしている。
ところで、役員の成り手不足問題、は10年以上前から管理組合の管理運営上の課題となっている。
平成23年標準管理規約の改正では、役員のなり手不足という実態もあり、また区分所有者団体である管理組合のありかたから、「役員の居住要件」を外すという改正が行われた。平成28年の改正では、理事長を含む理事及び監事について、これまで区分所有者に限定していた役員就任に外部専門家を登用することを認め、利益相反取引の防止、監事の権限の強化等の措置を規約で明確にした。
このように役員の資格要件の拡大により、役員の成り手不足問題に対応することは対策として有効である。とりわけ、役員就任条件として居住要件を課している管理組合においては規約の見直しを計ることは検討すべきものであろう。やむを得ず外部専門家に役員の就任を依頼する場合には、何をやってもらうのか業務内容を明確にし、契約を締結する必要があるだろう。
また、役員の選出方法についても検討する必要があるだろう。この選考方式の変更が直ちに役員なり手不足問題をすぐに解決することにはならないが、管理組合の活性化を図ることで、新たな役員の担い手の登場の誘い水となると思われる・多くのマンションでは区分所有者の1年ないし2年の任期の輪番制を採用していることが多い。この輪番制は、平等に管理業務を負担するということでは良い制度であるが、区分所有者のそれぞれの事情が考慮されず、管理に関してのモチベーションの低い人が役員の就任の可能性もある。その結果管理会社任せとなる可能性があり、マンション管理の基本である区分所有者の管理への自発性が啓発されない弱点がある。
この輪番制に対し、役員の立候補制や推薦制を採用する管理組合も少なからずある。役員の立候補制を採用する管理組合では、モチベーションの高い区分所有者によって管理運営されるので、活発な理事会の成立を期待できる。ただ、役員と一般区分所有者との区分けができ、一部役員による管理運営の独占と任せきりの区分所有者という弊害を生む可能性もある。また、役員の推薦制を採用する管理組合では、役員として適任の区分所有者が推薦され、安定した管理運営が計れる。だだ、特定のグループに所属する区分所有者が役員として推薦される可能性がある。それぞれの選考方法についてメリット、デメリットがあるが、マンションに実情に合わせ、選出方法の変更を含め検討することが望ましい。
「管理組合の自立的な運営は、マンション区分所有者等の全員が参加し、その意見を反映することにより成り立つものである。」(国土交通省「マンション管理の適正化に関する指針」)この観点から、将来管理不全とならないように役員を確保し、管理運営をしてゆくことが求められるだろう。

【NPO匠リニューアル技術支援協会の回答】
平成31 年4 月発表された平成30 年度マンション総合調査結果に下記の2項目があります。
Ⅰ.管理組合の役員を引き受けない理由
1、高齢のため 36.4%
2、仕事等が忙しく時間的に無理だから 22.7%
3、面倒くさいから 18.2%
4、何をしたらよいかわからないから 13.6%
5、本人・家族に病人がいる等の事情があるから 9.1%
5、あまり関心がないから 9.1%

Ⅱ.世帯主の年齢   (上段:回答数、下段:%)

合 計 20歳代未満 20歳代 30歳代 40歳代 50歳代 60歳代 70歳代 80歳以上 不明
全 体 3,211 4 12 211 608 779 866 620 92 19
100.0 0.1 0.4 6.6 18.9 24.3 27.0 19.3 2.9 0.6

60 歳代27.0%、70 歳代19.3%、80 歳以上2.9%合計49.2%となっています。

上記から、組合員の高齢化と役員を引き受けない理由がみてとれますが、この状況下で管理組合の
健全な運営を維持するための役員については下記のようなことが考えられます。

1、役員候補選出の方法の見直し
マンション全体で選出するのではなく、役員選出のブロック分けをし、そのブロックの中の話し合いで役員候補を選出する。年に2回程度、当該ブロックで組合運営状況等をテーマにブロック会を開催し、各メンバー同士のコミュニケーションの活性化を図る。

2、管理規約を改正し、役員就任対象者を拡大する(役員資格要件の拡大)
① マンションに居住しているという現住要件の見直し
② 組合員だけではなく、その配偶者・一親等の親族又は同居の親族も役員就任可能とする。

3、管理規約を改正し、役員定数を見直する(減員する)
① 役員定数 理事○名以上~○名以内、監事○名以上~○名以内 等

4、専門家を理事会運営に取り入れる。(上記引き受けない理由の1、2、3、4 等への対応)
① 外部専門家を理事会の顧問としての業務を委託する。
(外部専門家は、組合運営アドバイザーの業務を受託)
② 外部専門家を活用(第三者管理方式)
管理規約改正必要、平成28年度改正標準管理規約コメントの全般関係に記載、3パターン
一、「理事・監事外部専門家型又は理事長外部専門家型」
従来どおり理事会を設け、理事会役員に外部専門家を入れる。(外部専門化。(外部専門家が理事長になになることもることも想定される)
二、「外部管理者理事会監督型」
外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は監事的立場で外部専門家(外部管理者)を監視する。部管理者)を監視する。
三 「「外部管理者総会監督型」
外部専門家を区分所有法上の管理者として選任し、理事会は設けず、区分所有者から監事を選任して監視するとともに、全区分所有者で構成する総会が監視する。さらに、監査法人等の外部監査を義務付ける。

以上のとおり、役員なり手不足への対応はいろいろ考えられると思います。それぞれの管理組合の状況にあわせ慎重に検討することが求められますのでの状況にあわせ慎重に検討することが求められますのでマンション管理士に相談マンション管理士に相談されることをされることをお勧めします。その際には、埼玉県の制度「マンションアドバイザー派遣制度」を上手に利用されることも重要と考えます。

※「Ⅰ 管理組合の役員を引き受けない理由」「Ⅱ 世帯主の年齢」は当ホームページの掲載にあたり、サイト運営の都合上様式を一部変更しています。

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